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不動産の相続登記が義務化されるってほんと?

東京の中心で税務を叫ぶ 第102回コラム

不動産の相続登記が義務化されるってほんと?

大家さん
大家さん

不動産の相続登記が義務化されるってほんと?

大野
大野
今回は不動産の相続登記が義務化されるってほんと?についてお話します。

こんにちは!
今回は、相続登記(相続発生後に不動産所有者の名義を相続人に変更すること)
についてご質問を頂いたので回答いたします。

Q
2年前に親の相続が発生しましたが、いまだに遺産分割協議がまとまりません。
相続登記が義務化されると聞きましたが、
まだ登記していませんが、このままで大丈夫でしょうか?

A
ご認識の通り、令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。
この改正は、それ以前に発生した相続にもさかのぼって適用されますので、
現時点で相続登記が完了してない不動産も対象となります。

所有者不明の土地の発生を防ぐため、相続により不動産を取得した相続人は、
相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記申請が必要です。
また、遺産分割協議により不動産を取得した場合は、
遺産分割協議が成立した日から3年以内となります。
正当な理由がなく申請しなかった場合は、
10万円以下の過料が科される恐れがあります。

遺産分割協議が終わらない場合の罰則を回避する方法は、2つ考えられます。
・法定相続分により登記する
・相続人申告登記する(新設)

①法定相続分により登記する
法定相続人全員の共有名義で、民法の定める法定相続分(割合)
どおりに登記する方法です。
相続人が複数いても登記申請は単独で行うことができますが、
その場合は、登録免許税はすべてお一人で負担することになります。
登録免許税は、不動産の固定資産税評価額×0.4%です。
司法書士に登記を依頼すると、別途報酬もかかります。

その後、遺産分割協議が成立して、登記の変更が必要となった場合は、
登録免許税がもう一度発生します。
この場合は、不動産1つにつき1,000円ずつかかりますが、
登記を依頼すると司法書士報酬がかかります。
このように登記に関する費用が2回かかってしまうのがデメリットです。

なお、法定相続分での登記は、遺産分割により行われたものではないため、
共有持分が変更になってもの相続人間の資産の贈与とはならず、
贈与税はかからないことになります。

②相続人申告登記する(新設)
令和6年4月1日から施行される新しい制度です。
不動産の登記簿上の所有者について、
相続が開始したことと自らがその相続人であることを申し出る制度です。
この申出がされると、申出をした相続人の氏名・住所等が登記されますが、
持分までは登記されません。
不動産の所有権を登記するものではないため、
売却したり担保に入れたりすることはできません。
相続人が複数いても単独で申請することができ、
登録免許税はかかりません。
申請にあたっては、
相続関係を証明できる戸籍謄本などを提出するだけでよいとされていますから、
あまり手間がかからないと言えます。

この相続人申告登記を、
相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に行えば、
相続登記義務を果たしたことになり、罰則は適用されずに済みます。
ただし、この制度は、正式な相続登記ではありませんので、
その後、遺産分割協議が成立した場合は、
成立した日から3年以内に相続登記をして頂く必要があります。
このときには、不動産の固定資産税評価額×0.4%の登録免許税がかかり、
登記を依頼すれば司法書士報酬がかかります。

上記の2つの方法を比べた場合、取得予定の不動産の売却などをしないのであれば、
手間やコストを考えると、②の相続人申告登記する方法を選択した方がよいと思います。

まとめ

①相続が発生したら3年以内に不動産登記が必要です。

②遺産分割協議が成立していない場合は、
「法定相続登記」または「相続人申告登記」をすれば罰則を回避できます。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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