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売却した土地の購入価格が分からない場合はどうする?

東京の中心で税務を叫ぶ 第160 回コラム

大家さん
大家さん
売却した土地の購入価格が分からない場合はどうする?
大野
大野
売却した土地の購入価格が分からない場合はどうする?
について、お話しします!

こんにちは!
今回は、売却した土地の購入価格が分からない場合の取扱いについてお話します。

前回もお話しましたが、
不動産を売却して売却益が発生すると、
譲渡税を払う必要があります。
不動産の売却益(譲渡所得)は、次のように計算します。

譲渡所得=譲渡収入-( 取得費+譲渡費用 )

このため、取得費を大きくできれば、
譲渡所得を小さくできます。

もし取得費が分からない場合は、
売却価格×5%を取得費とみなすことになっています。
そうすると、売却価格の95%が譲渡所得となってしまいます。

このような場合には、土地の購入価格を合理的に推定して
税務署に対して説明することができれば、
それを購入価格とすることが可能だと考えます。

もし借入して購入しているなら、
登記簿謄本に抵当権設定の履歴が残っていて、
そこにいくら借入したかが書いてある可能性があります。
当時の借入金額から土地の購入価格を推定できるかもしれません。
また、当時の通帳があれば入出金の履歴から
推測するという方法も考えられます。

あるいは、市街地価格指数を用いて
購入価格を推定する方法も考えられます。
市街地価格指数とは、一般財団法人日本不動産研究所が、
年に2回全国の主要都市の中から選定された地点(宅地)の
価格調査の結果を指数化したものです。
2000年を指数100として、
昭和30年以降の地価を各エリアごとに示しています。

ただし、この指数は6大都市の平均など、
広範囲の平均値を表すもので、
実際に売却した場所の価格を表しているというには根拠が弱く、
過去に税務署から否認されているケースが複数あります。
この指数を使用するためには、
たとえば同じ時期に近隣で実際に
購入した土地の価格が分かる資料などが必要といえます。
市街地価格指数で計算した平米単価と、
近隣土地の購入時の平米単価を比べて近い価格であれば、
市街地価格指数での計算が合理的と主張できる可能性があります。

また、不動産鑑定士などの専門家に依頼する方法もあります。
購入当時のその地域の土地の価格を鑑定してもらい、
専門家が出す鑑定評価書であれば、
市街地価格指数よりも客観的な根拠として
主張しやすいと考えられます。

ただし、気をつけて頂きたいのが、
購入時に買換え特例などの特例の適用を受けていないかです。
買換え特例とは、持っていた不動産を売却して、
すぐに別の不動産を購入した場合に、
売却益への課税が先送りされる制度です。
この場合は、元々持っていた不動産の取得価額が、
買換え取得した不動産の取得価額として引き継がれ、
買換え取得した不動産を売却したときには、
その引き継がれた価額を取得価額として計算します。

この引継ぎ価額は、税務署に半永久的に保管されますので、
この価格を取得価額として使用しないと、
後から税務署から修正を求められてしまいますので、
事前に税務署に確認しておきましょう。

 

まとめ

①取得費が分からない場合は、客観的な根拠があれば推定する方法もあります。②ただし、購入時に買換え特例の適用を受けていないかは確認しましょう。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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