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【2026年税制改正】賃貸不動産5年ルールの制定

東京の中心で税務を叫ぶ 第198回コラム

大家さん
大家さん

【2026年税制改正】賃貸不動産5年ルールの制定について教えて

大野
大野

【2026年税制改正】賃貸不動産5年ルールの制定
について、お話しします!

こんにちは!
不動産オーナーの皆様にとって、
2026年度税制改正大綱は極めて重要な内容となりました。
長年、相続税対策の「王道」とされてきた
賃貸用不動産の評価方法が、根本から覆されようとしています。
そこで今回は、今回の改正のポイントと、
今から検討すべき対策について解説します。

1. 「5年ルール」の導入:購入価格ベースの評価へ
今回の改正で最も大きな衝撃は、
相続開始前の5年以内に購入した賃貸用不動産の評価方法です。
これまでは、時価(購入価格)よりも大幅に低い
「路線価」や「固定資産税評価額」で算定することで、
相続財産の評価額を圧縮することが可能でした。
しかし、今後は「購入時の価格をベースに
地価の変動を考慮した価格の8割」で評価することになります。
これにより、購入直後の大幅な評価圧縮スキームは事実上封じられることになります。

2. 不動産小口化商品は「例外なく時価」評価
さらに厳しい内容となったのが、
任意組合型の不動産小口化商品です。
こちらは取得時期(5年以内か否か)を問わず、
「通常の取引価額(時価)」で評価される方針が示されました。
少額から投資でき、高い節税効果を期待できたこの手法は、
税務上のメリットが大きく損なわれる可能性があります。

3. 適用時期と「既存物件」への影響
これらの改正は、2027年(令和9年)1月1日以後に発生する相続が対象です。
注意すべき点は、「すでに入手済みの物件」であっても、
2027年以降に相続が発生し、
かつ取得から5年以内であれば新ルールが適用されるという点です。

4. 2026年中に検討すべき「相続時精算課税制度」の活用
2027年の施行までには約1年の猶予があります。
この期間に取れる有効な対策の一つが、
「相続時精算課税制度」を用いた贈与です。

この制度は、60歳以上の父母・祖父母から
18歳以上の子・孫への贈与について、
累計2,500万円まで贈与税が非課税となるものです。
そして贈与者が亡くなった時点で、
贈与した財産を相続財産に加算して相続税を計算します。

最大のポイントは、「贈与時の評価額で価格が固定される」という点です。

評価の固定化: 今のうちに(現行の路線価評価で)贈与を行えば、
将来の相続時に財産に加算される際も、贈与時の低い評価額が適用されます。

収益の移転: 賃貸不動産そのものを贈与することで、
将来発生する賃料収入(現金)を次世代へ移転し、
親の代での現金の蓄積(=相続財産の増加)を防ぐことができます。

まとめ
今回の改正は、不動産投資を活用した出口戦略に大きな影響を与えます。
現行ルールが適用される2026年中に、
現在の保有物件の取得時期を確認し、贈与を含めた対策を検討することが重要です。
「自分の場合はどうなるのか?」と不安に思われる方は、
ぜひ一度シミュレーションを行うことをお勧めします。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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