利益やキャッシュフローの考え方は大家さんにとって重要かつ必要な知識です。
しかし、わかっていると思っている方も意外と勘違いしていたりするものです。
そこで今回は、この2つの違いについて、「どのような観点で見ていけばいいのか」に
ついて説明します。
1.利益は手残りの現金ではない
(1)利益は税金計算のもと
利益とは、収入から経費を引いた残りのことで、
収入−経費=利益
という式で表されます。これは「儲け」と言った方がわかりやすいかもしれません。この利益に対して税金がかかりますので、大家さんにとっては非常に関心の高い数字になるわけです。
(2)利益の計算にはルールがある
一般に「利益」という場合、これは一定の期間内(一般的には1年間)で会計上のルールによって計算された数字を言います。計算式は上記の「収入−経費=利益」なのですが、収入となる数字の条件、経費となる数字の条件が決まっています。そういった共通のルールで計算することで、過去や未来との比較もできるし、他とも比べることができるようになります。
2.ルールを知らずして利益は語れず
(1)「費用収益対応の原則」と「発生主義」
共通のルールで重要なことは、「期間内で発生した収入と経費は対応していなければならない」ということです。これを「費用収益対応の原則」といいます。また、これらの数字を認識する基準を「発生主義」といいます。「発生主義」とは期間内で発生したものを収益なり費用として認識する、というもので、実際のお金の流れに関係なく、簡単に言うと、権利が確定したものを数字として計上する、というものです。実はこれが大家さんの利益計算に大きな影響を与えますので要注意です。
(2)利益計算の実際
たとえば大家さんの場合、未回収の家賃があったとしても、それはすでに確定しているので収入として計上します。本来なら家賃が入ってきた時に収入とすれば合理的ですが、利益計算のルールではそうしません。
他にもいろいろなルールがありますが、この家賃の計上ルールひとつを取っても、大家さん自身が実感する利益と、計算上の利益にはズレが生じることは間違いありません。投資の世界ではこのことを、ルールによって見た目が変わるという意味で「利益は意見」と呼んでいます。
3.まとめ
利益の計算にはルールがあります。売上(収入)と費用(経費)は対応する、ということは必ず覚えておきましょう。