●「遺産分割について」
こんにちは。弁護士の関です。
今月は「遺産分割について」を書いていきます。
——————————————————————–
●③遺産の評価の確定
———————————————————————
遺産を調査し、遺産の範囲を確定させるのと並行して、各遺産の評価をします。
評価の基準時は、実務では、遺産分割時で行っています。
遺産の中でも、現金、預貯金、上場企業の株式などは、
その評価はさほど問題になりませんが、
よく争いになるのが、不動産や非上場会社の株式です。
不動産については、そもそも、公示価格、路線価、固定資産税評価額など、
様々な基準があります。また、民間の不動産会社の査定を取ると、
これらより高い場合もあれば、低い場合もあります。
実務上は、ケースバイケースで、路線価や、路線価を80%で割り戻した金額を時価とみなしたり、
相続人間で出し合った不動産会社の査定価格の平均値で合意するような場合もありますが、
話し合いの結果、どうしても合意にいたらない場合には、
不動産鑑定士による鑑定が必要となります。
非上場会社の株式については、相続税申告書を資料として、
税務上の評価で合意する場合もありますが、株価の算定方法には複数のものがあり、
話し合いの結果、やはり合意にいたらない場合には、
公認会計士の鑑定が必要となります。
不動産も非上場会社の株式も、比較的価額が大きく、
双方の主張する金額に大きな隔たりがあり、
また、これらの現物を取得したい人は価額を小さく、
代償金(お金)を取得したい人は価額を大きく主張したい傾向があり、
なかなか話し合いで解決できません。
———————————————————————
●④具体的相続分の確定(寄与分、特別受益)
———————————————————————
相続分とは、相続人が「複数」存在する場合に
各相続人が相続財産を取得する割合のことをいいます。
この相続分は、被相続人が遺言で決めることができますが、
これを「指定相続分」といいます。この指定がない場合には、
民法に規定された相続分が適用されますが、
この相続分のことを「法定相続分」といいます。
法定相続分は、だれが相続人になるかで、割合が異なりますが、
相続人が複数存在する場合の組み合わせは、次のとおりです。
① 配偶者と子(一人又は複数)
② 配偶者と直系尊属(一人又は複数)
③ 配偶者と兄弟姉妹(一人又は複数)
④ 子(複数)
⑤ 直系尊属(複数)
⑥ 兄弟姉妹(複数)
同種類の相続人が複数いるときには、
原則として人数で均等に分けられます(民法900条4号本文)。ただし、
直系尊属の場合には同順位に複数いる場合であり(例えば、父と母。
同法889条1項1号但書)、また、兄弟姉妹の場合には、
半血兄弟姉妹(父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹)と
全血兄弟姉妹(父母の双方を同じくする兄弟姉妹)がいる場合には、
半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の2分の1とされています
(同法900条4号但書)。
例えば、④⑤⑥は、二人であれば、法定相続分は2分の1ずつとなります。
また、①②③の配偶者との組み合わせの場合には、次のとおりになります。
① 配偶者と「子のグループ」 2分の1と2分の1(同条1号)
② 配偶者と「直系尊属のグループ」 3分の2と3分の1(同条2号)
③ 配偶者と「兄弟姉妹のグループ」 4分の3と4分の1(同条3号)
そして、同じグループに複数いる場合には、前述のとおり、原則として、人数で均等に分けられます。
例えば、法定相続人が妻と子三人の場合、
①のケースとなり、妻が2分の1、
「子のグループ」が2分の1となります。
そして、「子のグループ」に子が三人いますので、
それぞれ、2分の1×3分の1=6分の1ずつとなります。
遺産分割は、この法定相続分どおりに分けることもあります。
しかし、相続人のだれかに、「特別受益」や「寄与分」があると、
この法定相続分が修正されます。この修正された後の相続分を、
「具体的相続分」といい、遺産分割は、具体的相続分をもとに行います。
「特別受益」とは、共同相続人の中に、
被相続人から、「遺贈を受け、又は婚姻若しくは
養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者」があるときに、
他の相続人に比べて特別の利益を受けていることから、
相続分を減らして公平を図る制度です(同法903条)。
「寄与分」とは、共同相続人の中に、「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、
被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は
増加について特別の寄与をした者」があるときに、
遺産を増やした貢献に報いるために、相続分を増やして公平を図る制度です(同法904条の2)。
つまり、公平の観点から、相続分という取り分を減らしたり、
増やしたりする制度があるのです。
相続人のだれかが、この「特別受益」や「寄与分」を主張する場合、
相続分でも争いが起きることになります。



