「建物カルテ」
~分譲マンション投資の魅力~
失敗しない区分マンションを選ぶには、
まず机上で建物の「管理」が良いかを調べるのがポイントです。
言い換えると、購入を検討しているマンションが
「頭がいいマンションかどうか」を判定するということです。
そのために管理組合が発行している6つの重要書類――管理規約、
通常総会資料、総会議事録、修繕履歴、長期修繕計画、
管理委託契約書――を取得して分析します。
今回は、この6つの書類の中から「修繕履歴」について詳しくお伝えします。
1.修繕履歴とは何か
修繕履歴とは、マンションが建築されて(竳工時)から
現在までに実施された修繕内容(工事内容と金額)を
時系列で一覧にした書類です。
医療に例えれば、まさに「カルテ」にあたるものです。
人間が病院を受診するとき、
医師はまずカルテを確認します。
過去にどんな病気や治療があったかを知ることで、
現在の健康状態や今後のリスクを的確に把握できるからです。
マンション投資も同じです。
修繕履歴を確認すれば、
そのマンションがこれまでどのように
維持管理されてきたかが一目でわかるのです。
具体的には、大規模修繕を何回、
いくらで実施したのか。鉄部塗装や給排水設備の更新などの
小規模修繕を何回、いくらで実施したのか。
予定外の事故や災害対応がなかったか。
これらの情報が、すべて時系列で確認できるのが
修繕履歴の優れた点です。
2.修繕履歴で今後の工事を予測する
修繕履歴を取得する最大のメリットは、
購入後にどんな修繕工事が何年後にいくらで
実施されるのかを予測できることです。
たとえば、築30年のマンションの
修繕履歴に「築12年目と築24年目に大規模修繕を実施」と
記録されていれば、おおむね12年周期で
大規模修繕が行われていることがわかります。
ということは、次の大規模修繕は築36年目頃、
つまり購入から約6年後に実施される
可能性が高いと予測できるのです。
前回の大規模修繕が24年目に実施された際の
工事金額がわかれば、
次回の大規模修繕にどの程度の費用が
かかるかの目安にもなります。
もちろん、建築費の物価上昇や
工事範囲の変化はありますが、
実績に基づいた予測は、
計画書上の数字だけを見るよりも
はるかに信頼性が高いのです。
また、小規模修繕の履歴からも多くのことが読み取れます。
たとえば、築15年目と築25年目に
エレベーターの更新工事が記録されていれば、
約10年周期で更新が必要になる設備だとわかります。
このように、過去の実績データから
将来の支出を具体的に予測できる点が、
修繕履歴の最大の強みです。
3.修繕履歴の信用性が高い理由
修繕履歴の大きな特徴のひとつは、
そのデータの信用性が非常に高いことです。
なぜなら、修繕履歴は総会資料(決算資料)を
作成する際の基礎データだからです。
区分マンションでは、毎年総会を開催し、
その議案で決算報告をする必要があります。
決算報告の中には、
管理費会計の部門に修繕費の科目があり、
その年に実施した修繕内容と金額が記載されます。
また、修繕積立金会計の部門にも、
計画修繕として実施された工事内容と金額が記載されます。
この2つの会計の修繕内容を合わせたものが、修繕履歴ということになります。
つまり、修繕履歴の数字は組合員
(区分所有者)の承認を得た決算書に基づくものであり、
修繕履歴単体としての信頼性だけでなく、
決算書との整合性も検証できるのです。
この点が、他の書類にはない修繕履歴ならではの強みと言えます。
4.まとめ
修繕履歴は、マンションが建てられてから現在までの
「健康診断の記録」であり、
将来の工事を予測するための最も信頼性の高いデータです。
また、修繕履歴をスムーズに開示できるかどうかは、
そのマンションの管理の質を映す鏡でもあります。
きちんとした総会運営と決算がなされているマンションであれば、
修繕履歴は決算資料からデータを抽出するだけで簡単に作成できます。
逆に、修繕履歴が出てこないマンションは、
決算自体がきちんとなされていない可能性があり、
投資対象としてのリスクが大きいと判断できます。



