親の持ち家をどうするか
皆さんこんにちは。大家兼不動産屋の廣田です。
前回の続きです。
4.持ち家を保有するのか、処分するのか
親の持ち家を誰が相続するのかが決まったら、
今後、保有していくのか、処分するのかを判断することになります。
相続が発生する前に処分するという選択肢もあります。
判断する上で、家に対する思いと物件の価値について考えましょう。
(1)家に対する思い
「親の持ち家=自分の育った家」
「長く暮らした家で、最期は迎えてもらいたい」
「先祖伝来の土地だから、自分の代で手放す分けにはいかない」など、
いろいろな家に対する思いで、親の持ち家を手放すことを躊躇される人が多いと思います。
不動産を保有するには、固定資産税、
メンテナンス費用など経済的負担が必要で、
それなりの覚悟が必要です。
保有することにこだわるあまり、
無理な土地活用によって次世代で問題が発生することもあります。
場合によっては、土地を手放すことも検討のひとつに入れても良いのではないでしょうか。
・「先祖伝来の土地を守りなさい」
地主さんの家系では、「先祖伝来の土地を守りなさい」という言葉を、
代々言い伝えられている家族が多いのではないでしょうか。そのためか、
盲目的に土地は守るものと考えている人が多いようです。
ここからは、あくまでも個人的な考えですが、
この「先祖伝来の土地を守りなさい」という言葉の前には、
「子孫の幸福のために」という言葉が入っていると思います。
保有するための経済的負担が生活を圧迫するようなときは、
手放すことも考えても良いと思います。
(2)物件の価値
物件を保有するか、処分するかを決める上で、
物件の経済的価値を客観的に把握することが大切だと思います。
・立地はどうか
今後持っていても、地価が値上がりしないまでも、
下がりにくい立地にあれば、今後も保有して様々な活用が考えられます。
タイミングによっては売却を検討することもできます。
逆に地価の下落が予想される立地であれば、
早めに手放したほうが良いと思います。
立地を判断する上で、
物件所在地の市区町村の都市計画やハザードマップなどが参考になります。
立地適正化計画が立案された地区で
居住誘導区域の外になっていると今後地価の下落が予想されます。
また、災害の発生する確率の高い地区も要チェックです。
・建物のコンディション
立地の次に検討するのが建物のコンディションです。
木造住宅であれば、一般的に築30年以上経過している場合は、
建物の解体の検討をする時期になると思います。
もちろん、実際の建物のコンディションは、築年数だけでなく、
それまでのメンテナンスによっても差が出ますので、
現地を確認して判断しましょう。場合によっては、
専門家に建物状況調査を依頼して、
客観的な評価をしてもらうのも良いと思います。
新耐震基準の建物であるかどうかも判断基準の一つです。
新耐震基準でない建物は、ローンや税制面で不利になるため、
売却価格が安くなります。
・新耐震基準
昭和56年6月1日以降に、確認申請を行った建物は、
新耐震基準に適合した建物です。
新耐震基準に適合していない建物でも、
耐震診断の上、適切な耐震工事を実施すれば、
新耐震基準に適合した建物になります。