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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第407回】不動産鑑定士・住宅診断士
皆川 聡が斬る!②

住宅診断の必要性について

こんにちは、不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。
前回はクラックについて記載させていただきました。
今回は住宅診断の必要性について記載させていただきます。

住宅診断の必要性について
その市場の活性化を支える住宅診断
(ホームインスペクション)の必要性について説明します。

●早期発見と早期修繕の重要性●
皆さんは、毎年の健康診断を通じて、病気やその兆候を早期に発見し、
適切な治療を受けることで健康寿命を延ばし、
家族との時間を大切にしようとしています。
同様に、建物も早期に問題を見つけ、
迅速に修繕することで、耐久性を保ち、寿命を延ばすことが可能です。
また、建物が良好な状態で維持されることにより、
快適な生活環境が保たれ、結果的に建物の健康寿命も延びるのです。

●従来の評価方法とこれからの評価方法●
築30年以上経った木造建物でも、手入れが行き届いていれば、
まだ十分に住める物件は多く存在します。
建物の価値は、単なる築年数ではなく、
施工の質やメンテナンス状況によって決まります。
実際、外観からだけでは劣化の状況を
正確に判断することはできません。
これまで、金融機関の担保評価は主に外観調査に基づくものでした。
特にバブル崩壊後は、保守的な評価が一般的で、
法定耐用年数を超えた建物はゼロ評価とされてきました。
しかし、近年では国土交通省も中古住宅市場の活性化を推進しています。
そのため、今後は
「これまで蓋をしていた建物の状態を公開し、リスクを明示する」
ことが求められています。
具体的には、以下のような流れで進められると考えられます。
1.住宅診断士が建物の物的な劣化状況を確認
2.不動産鑑定士がその調査結果を基に経済価値を判定
3.金融機関がその評価を基に融資を決定
これにより、従来ゼロ評価だった築古建物も、
適切なメンテナンスを施していれば、その価値が再評価され、
融資が可能になる時代が到来しています。

●住宅診断の必要性●

皆さんが所有する物件のメンテナンス状況は
いかがでしょうか?
メンテナンスの費用対効果を考慮すると
難しい面もありますが、
劣化を放置すると、
将来的に高額な修繕費用がかかる可能性があります。
「リフォーム業者に診断してもらうから、
住宅診断士は必要ない」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、リフォーム業者の中には、
リフォームを前提とした診断を行うところもあり、
業者選びには注意が必要です。
NPO法人日本ホームインスペクターズ協会の住宅診断士は、
第三者の立場で診断を行うため、
安心して依頼できる選択肢です。
また、賃貸物件の場合、修繕費用を最小限に抑えつつ、
空室対策や賃料引き上げを狙う視点も重要です。
修繕の効果やタイミングについては、
慎重な判断が求められます。

●まとめ●
これまで築古物件の建物価格はゼロとされていましたが、
適切なメンテナンスを施すことで、
価値が見直される時代に変わりつつあります。
これこそが中古住宅市場の活性化であり、
そのためには客観的な住宅診断が不可欠です。
皆様の物件も、今後の動向を見据えながら、
資産形成の一助としてご活用いただきまして、
少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読みいただきまして、
誠にありがとうございます。

ABOUT ME
皆川聡
株式会社Aoi不動産鑑定 大手不動産鑑定会社に約8年従事し、メガバンク、政府系金融機関、地銀、信用金庫、信用組合などの金融機関の担保評価をメインに約2500件の案件を携わり、国際線ターミナルの評価の実績もあり。 退職後、平成27年4月に開業。 開業後は、税務対策の鑑定評価や裁判調停等の鑑定評価での多数実績。住宅診断を反映した鑑定評価にて、より清緻な鑑定評価を行っており、鑑定評価額だけではなく、皆様の建物の日ごろのメンテナンスのポイントなどもご提案し、ご好評をいただいております。また2020年10月には、相続税の還付請求にて、他の不動産鑑定士が国税不服審判所にて否認された案件を、その後当職が不動産鑑定を担当。圧倒的な不動産鑑定評価により、東京地裁において、国税庁との裁判で無事完全勝訴しております。
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