住宅診断における建物外装のチェックポイント
こんにちは、不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。
今月担当最後の回は、
住宅診断における建物外装のチェックポイントについて
記載させていただきます。
建物の外装は、特に雨漏りの原因になるところが多いため、
このポイントだけは押さえておきたいという項目を
説明させていただきます。
①屋根 ズレ、割れ、剥がれ、表層の劣化、
棟の漆喰部分のクラックなど
②軒裏 雨仕舞など、しっかり施工されているか
③外壁 クラック(ひび割れ)、チョーキング、苔
④開口部周辺の外壁との取り合い部分 クラックなど
⑤基礎 通気孔からのクラック、通風など
⑥バルコニーや屋上 床の勾配がきちんと雨水が
流れる勾配が確保されているか否か、
ドレンのつまり、枯れ葉のたまり、笠木の浮きやズレ、
⑦支持金物 雨樋、面格子などの留め具の状態
建物は、遠目に見て綺麗であっても、
近くで角度を変えながら見ると、
結構傷んでいたる箇所があったりします。
まず、外観調査を行う場合には、
建物を遠くから見て、
ズレているところや汚れがあるかを
全体的に確認して下さい。
もしズレている場合には、
そのズレがどういう原因でズレているのかを
確認する必要があります。
汚れについても、汚れた箇所を発見したら、
単なる汚れである可能性も50%は
あろうかと思われますが、
逆に半分は、建物の痛みによる事象で
あることも結構あります。
その汚れの原因が何かの確認も必要になります。
その次に確認することは、屋根のズレ、割れ、
などの確認になります。
雨樋に落ち葉や土などが溜まっていないか等、
水が滞留する部分がないかどうかの確認が必要になります。
次に、外壁や、基礎のクラックの状況を確認してください。
その後、サイディングボードとの継ぎ目のコーキングの状況、
軒裏の状況、壁、屋根の取り合いを確認し、
隙間等が開いていないか、
雨仕舞がしっかり確保できるか。
黒いシミなどがついていないか、
通気孔から中を確認し、
通気は確保され、乾燥している状態か、
シロアリ等が好む水が溜まっている等の水気がないか、
などを調べることが必要になります。
支持金物も油断はできません。
金物がしっかり固定されていないと、
隙間が大きくなっていたり、特に大雨の際に、
水の浸入を簡単に許してしまいます。
特に外壁においては、コーキング部分は
10年前後くらいから劣化が生じます。
まず、コーキング部分の硬化から、ひび割れが生じ、
そのひび割れから徐々に裂け目が大きくなり、
雨が降ればそこから建物内部に水が浸入してきます。
外壁材のサイディングボード等には
透湿防水シートがあるため、
直ちに影響はございませんが、
防水シートも劣化が進む為、
時間の経過とともに躯体にまで
影響を及ぼす可能性があります。
また、水が入ってくることにより、
腐朽菌やカビの原因になったり、
最後にはシロアリ発生の原因になってしまう恐れがあり、
耐久性の劣化の速度を早める要因となります。
今回建物の外装のチェックを記載しましたが、
新築後10年位までは、施工不良または、
地盤に問題がなければ、
問題が生じないかと思われます。
しかし、築12年以上または、
直射日光の激しさの程度によっては、
コーキングなど劣化してくる可能性が高いため、
まずは、ざっとご確認され、上記に記載したことを
確認されることをお勧めします。
但し、調査専門家でなければ、
分からないことが多々ありますので、
お気軽にお尋ねされることを住宅診断士などの専門家への
調査ご依頼をお勧め致します。
今回は、雨漏りの原因にもなりうる
建物の傾き発見のポイントに
お伝えさせていただきました。
皆様のお持ちの物件の資産形成の
一助としてご活用いただきまして、
少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読みいただきまして、
誠にありがとうございます。
以上
