今までは、1棟6室しかなかったのですが、今年、新たに物件を購入して2棟14室になります。事業的規模になるので、青色事業専従者給与を出したいのですが、金額をいくらにしたらよいでしょうか?
A
青色事業専従者給与の金額は、「届出書に記載されている方法により支払われ、しかも、その記載されている金額の範囲内で支払われたものであること」が必要になります。あらかじめ支給する金額の上限を届け出なければならないということです。そして、その金額は、「労務の対価として相当であると認められる金額であること」が要件になっています。したがって、労働と給与が見合ってないといけないということになります。規模や業務内容により大きく異なりますが、月20万円以内くらいでの設定が無難かと考えます。しかし、月20万円を出してしまうと弊害が出てしまう場合があります。給与を受け取る相手方の事情に応じて支給金額を判断して頂ければと思います。以下、給与金額のパターンで場合分けして解説します。
(1)月5万円の場合
年間60万円の支給額であれば、給与所得控除が最低65万円あるため、他に給与がなければ、給与所得がゼロになります。年金をある程度もらっている方を専従者にする場合には、年金と給与が合算されて税金が高くなる場合もあります。その場合には月5万円の給与で抑えれば、税金が上がる心配もありません。
(2)月8万円の場合
給与を支給する場合には、給与から源泉所得税を差し引き、その源泉所得税を事業者が専従者にかわって、国に納付する手続きをしなければなりません。源泉所得税は、月8万8千円以上の給与から発生しますので、月8万円であれば源泉所得税を取る手続きはいらなくなります。また、年100万円未満の給与のみであれば、専従者に住民税がかかることはありません。専従者に所得税及び住民税がかからないようにする場合に利用する場合が多いです。
(3)月10万円の場合
サラリーマン大家さんが、専従者給与を支給する場合、最も気を付けなければならいことが、社会保険の扶養から外れないようにすることです。社会保険の扶養から外れてしまうと、専従者自ら、国民健康保険、国民年金等の社会保険を負担しなければなりません。年間で40万円近くの負担になる場合もあります。その社会保険の扶養が給与の年収130万円未満になりますので、その範囲内で給与を出すことになります。
(4)月15万円の場合
給与所得控除は、年収に応じて控除の率が異なります。年収180万円までは40%を給与所得控除として年収から差し引いてくれます。月15万円であれば、その給与所得控除を最大限活かすことができます。なお、青色事業専従者給与を出す場合には、配偶者控除や扶養控除は取れません。月3万円の専従者給与であれば、配偶者控除や扶養控除で38万円の控除を選択した方が有利になります。