渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第195回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q父に相続が発生しそうです。ある程度の相続税を知っておきたいのですが、
不動産は固定資産税の課税明細書を見ればよいでしょうか?
A
相続税の財産調査において、大きな財産になりやすいのは、不動産です。
しかし、意外にも見落としがちな項目が多く存在します。
固定資産税の課税明細書を見るだけでは不十分な可能性があるのです。
1.先代名義の不動産
相続税の財産調査で最も見落としやすい不動産の一つが、
先代名義の不動産です。
これは本来、相続で引き継いだにもかかわらず、
相続登記がされていないまま先代名義になっている不動産です。
相続人が明確に引き継いでいれば発見しやすいかもしれません。
しかし、遺産分割がまとまっていなくて
未分割のまま残されているものがあります。
そのような未分割の不動産は、
法定相続人が法定相続分で引き継いだものとして、
その相続人の相続財産に含めなければならないのです。
先代の不動産をどのように承継されているかを確認する必要があります。
2.固定資産税が免税や非課税の不動産
固定資産税が免税や非課税となっている不動産も、
相続税の財産調査で見落とされやすい項目です。
公共の用に供される道路や墓地などの土地は、
固定資産税が非課税となるため、課税明細書に記載されないことがあります。
また、固定資産税には免税点制度があり、
評価額が一定金額以下の場合は課税対象外となり、
課税明細書に記載されないことがあります。
《免税点》
土地:課税標準額が30万円未満
家屋:課税標準額が20万円未満
これらは相続税に大きな影響を与えることはないですが、
遺産分割協議の対象から漏れやすいので気を付けてください。
これらの不動産は名寄帳を見ることで確認できます。
3.借地権・地上権
借地権や地上権といった不動産に関する権利も、
相続税の財産調査で見落とされやすい項目です。
とくに借地権(賃借権)は、
土地の賃貸借契約書を基に発生する権利のため、
土地の登記情報には記載されないことが多いのです。
この場合でも建物の登記はされているので、
その敷地に借地権としての権利があるのではないかと疑ってみることが重要です。
4.海外不動産
被相続人が所有していた海外の不動産も、
見落とされやすいです。
海外では、登記制度がない国もあるため、
海外不動産の所有に関する情報や手がかりが薄いことが考えられます。
不動産は相続財産の中でも大きな割合を占めることが多いため、慎重な調査が必要です。
専門家のサポートを受けながら、見落としのないようにしましょう。
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