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親族を役員に入れると相続に支障が出るか?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第253回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q私が経営する会社に、
妹を役員として入れようと考えています。
妹を役員に入れることで、
私や会社の相続に悪影響が出ることはあるのでしょうか?
会社は株式会社で、株主は私1人です。

A
結論から申し上げますと、株式会社であれば、
妹様を役員にするだけでは
相続への直接的な悪影響はありません。

ただし、株式を持たせるかどうか、
また会社形態によって取扱いが変わる点に注意が必要です。

1.株主は役員の選任・解任権を持つ
株式会社では、役員の選任・解任は株主総会の決議事項です。
相談者様が単独株主である限り、
妹様の選任も解任も、ご自身だけの判断で行うことができます。

つまり、役員に入れても、
会社のコントロールは相談者様が握ったままです。

もし役員として不適切な行動をとった場合でも、
株主総会決議でいつでも解任可能です。
ただし、正当な理由なく解任した場合には
損害賠償責任を負う可能性がある点には留意が必要です。

2.株式会社の役員:地位は相続されない
会社法330条により、
役員と会社の関係は民法の委任に関する規定に従います。

委任は受任者の死亡によって終了します。
したがって、妹様が死亡しても、
役員としての地位が相続の対象になることはありません。

妹様の配偶者や子などの相続人が、
取締役の地位を承継することはないのです。

なお、未払報酬や会社への貸付金があれば、
これらの金銭債権は妹様の相続財産となりますが、
役員資格そのものは消滅します。
役員に入れるだけなら、
相続という観点で会社に持ち込まれるものは限定的です。

3.株式を持たせると相続に影響が出る
一方、妹様に会社の株式を持たせた場合は話が大きく変わります。
株式は財産権ですので、妹様が死亡すればその相続人に承継されます。
会ったこともない妹様の配偶者や子が、
突然あなたの会社の株主として登場し、
経営に関与してくる可能性が出てくるのです。

承継の本線は子に集中させるのが基本であり、
妹様には原則として株式を持たせないことが、会社支配の安定にとって重要です。

4.合同会社では役員=出資者となるため慎重に
合同会社では、業務執行社員(役員)は
同時に出資者(社員)となる仕組みです。

つまり、妹様を合同会社の役員に入れることは、
出資者にすることと同義になります。

定款に承継規定がなければ、
妹様が死亡すると法定退社となり、
相続人は持分払戻請求権(金銭債権)を相続します。

会社側には思わぬ資金流出が生じます。
一方、定款に承継規定がある場合は、
相続人が出資持分そのものを承継するため、
株式会社で株式を持たせた場合と同じ問題が発生します。

いずれの場合も、
合同会社で妹様を役員にすることは、
株式会社で単に役員にする場合とは
質的に異なるリスクを伴うことになります。

4.まとめ
株式会社では、役員の選任・解任権は株主にあり、
親族を役員にしても株主がコントロールできます。
また役員の地位は相続されないため、
相続への直接影響も限定的です。
しかし、株式を持たせるとその相続人に承継されます。
また、合同会社は役員=出資者のため、
役員就任自体が相続問題を会社に
持ち込むことになる点に特にご注意ください。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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