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1棟目は個人で始めるべきか、法人で始めるべきか

東京の中心で税務を叫ぶ 第191回コラム

大家さん
大家さん

1棟目は個人で始めるべきか、法人で始めるべきか?

大野
大野
今回は
1棟目は個人で始めるべきか、法人で始めるべきか
について、お話しします!

これから1棟目を購入して不動産投資を始めようと考えた際には、
個人で購入して始めるべきか、法人を設立して、
法人で購入して始めるべきか、迷われることがあると思います。
一概にどちらにすべきとは言えませんが、
不動産投資を始める目的によって異なると考えます。
そこで、まず最初に「不動産投資の目的」を
明確にしましょう。
なぜなら、後からでは余計なコストが
かかって軌道修正が難しくなる恐れがあるからです。
様々な目的があるかと思いますが、
その中でもよくあげられる次の3つの目的です。

・節税したい(所得税、相続税)
・資産を拡大していきたい
・安定した収入が得られればよい

今回は、節税したい(所得税)について見ていきます。
結論として、
不動産投資により所得税を節税したいなら個人で購入するのがよいと考えます。
ただし、実際に節税になるのは、下記の要件を満たした人になります。

1.すでに高所得者の人が、
2.減価償却が大きくとれる物件を購入して赤字を出して、
3.購入金額以上の価格で売却する

どういうことか、順番に説明していきます。
まず、1つめの要件である「高所得者」についてです。
なぜ、節税効果を得るためには
高所得者である必要があるのでしょうか。

給与所得や不動産所得などは、
所得税を計算するときには合算されて課税(総合課税)され、
超過累進税率が適用されます。超過累進とは、
所得が大きくなれば大きくなるほど、
高い税率で課税されるものです。
課税所得が195万円以下の人の場合は最低税率の5%が適用されますが、
4000万円超の人の場合、最高税率の45%が適用されます。(住民税は一律10%)

これに対して、不動産を売却した際の譲渡所得は、
他の所得とは分けて計算される分離課税で、
税率(住民税と合わせて)は下記の通り一律です。

・短期譲渡(税率39.63%)
⇒譲渡する年の1月1日時点で5年以下の所有

・長期譲渡(税率20.315%)
⇒譲渡する年の1月1日時点で5年超の所有

ここで、売却時の税率と保有時の税率を比較してみましょう。
一定以上の所得がある場合、
売却時の税率が保有時の税率よりも低くなります。(住民税含む)

短期譲渡(税率39.63%) < 保有時の課税所得900万円超(税率43%)
長期譲渡(税率20%) < 保有時の課税所得330万円超(税率30%)

つまり、高所得の人ほど物件保有時の
税率と売却時の税率の差が大きくなり、
保有時にたくさん赤字を出せば
節税効果が大きくなります。
保有時の課税所得900万円超の人は
短期譲渡でも節税できる可能性があります。
また、課税所得330万円超の人も
長期譲渡のタイミングで適用税率が下がるため、
節税できるかもしれません。

次回は、「減価償却が大きくとれる物件」と
「購入金額以上で売却」について見ていきます。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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