東京の中心で税務を叫ぶ 第197回コラム
賃貸経営のキホン「経費」とは?について教えて
今さら聞けない賃貸経営のキホン「経費」とは?
について、お話しします!
こんにちは!
不動産投資をスタートさせた方にとって、避けて通れないのが「確定申告」です。
家賃収入から何を「経費」として差し引けるかを知ることは、
手元に残る現金を増やすための重要なステップとなります。
今回は、不動産所得の基本から経費の判断基準まで、
初心者が迷いやすいポイントをQ&A形式で解説します。
Q1. そもそも「不動産所得」とは何のことですか?
A. 土地や建物などの貸し付けによって得られた所得を指します。
具体的には、賃貸マンションやアパートの家賃、
駐車場の月極料金などがこれにあたります 。
不動産投資の最終的な利益(不動産所得)は、
単純な受取家賃の合計ではありません。以下の計算式で算出されます。
不動産所得 = 賃料収入 - 必要経費
つまり、いかに正しく「必要経費」を計上できるかが、
所得税や住民税を抑えるカギとなります 。
Q2. 何でも経費にできるのでしょうか?判断の基準を教えてください。
A. 最大のポイントは「賃貸経営と直接関係があるかどうか」です。
事業のための支出であることが客観的に見て明らかであれば、
経費として認められます 。
代表的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
【不動産所得の経費にできるものの一例】
・物件の固定資産税・都市計画税
・物件購入時の登記費用(登録免許税など)、不動産取得税
・借入金の利息
・管理会社に払う管理費
・入退去時の原状回復費用
・物件の共用部分の水道光熱費
・確定申告を依頼する税理士費用
・物件の見回り、物件の調査・視察などで移動する交通費
・不動産関係者との懇親会、不動産投資家との情報交換のための食事会などの交際費
・不動産のセミナー代、不動産の書籍代などの研修図書費
Q3. 自宅で事務作業をしていますが、家賃やスマホ代は経費になりますか?
A. 「業務に必要な分」を明確に区分できれば、経費にすることが可能です。
自宅を事務所として使っている場合や、
プライベートの車を物件管理に使っている場合などは、
事業とプライベートの両方にまたがる支出となります。
これを「家事関連費」と呼び、
「業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できること」を
条件に経費算入が認められます 。
【按分して経費にできる例】
・家賃(持ち家の場合は減価償却費)や、水道光熱費など自宅費用(一部事務所使用)
・ガソリン代、保険料、減価償却費のうち自家用車(一部事業使用)
・プライベート兼用のケータイ代、インターネット費用など通信費
これらは、使用時間や面積などの合理的な基準で分けることが大切です。
Q4. 逆に、経費として認められないものはありますか?
A. ローンの元本返済や、自身の生活に直結する税金などは経費になりません。
間違えやすい項目として、以下のものに注意しましょう。
・借入金の元本返済金額
→利息は経費になりますが、借りたお金の元本の返済は経費ではありません 。
・所得税、住民税、社会保険料
・駐車違反などの罰金、科料及び過料など
・同一生計の親族に支払う地代家賃、借入金の利息の支払い
→同じお財布の中でやり取りした対価は、経費になりません。
・同一生計親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与を除く)
→上記と同様。要件を満たした青色事業専従者給与のみ経費になります。
・福利厚生費(健康診断、スポーツクラブ会費、青色事業専従者との慰安旅行など)
→福利厚生費は従業員がいる場合に認められるものです。
賃貸業では、通常、一人でやっているか、
従業員がいたとしても、家族従業員のみでやっていることが多いです。
家族以外の従業員がいないと経費計上は難しいものになります。
Q5. 経費を間違えて申告するとどうなりますか?
A. 修正の手間がかかるだけでなく、キャッシュフローを圧迫する恐れがあります。
誤った内容で申告すると、後から内容を訂正しなければならず、
多大な手間がかかります 。
また、経費にならない支出を増やしすぎてしまうと、
キャッシュフローを悪化させ、経営を圧迫することになりかねません 。
「これは経費になるかな?」と迷ったときは、
それが賃貸経営のために真に必要な支出かどうか、
常に立ち返って考えるようにしましょう。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。





