渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第244回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q祖父がテナントビルを所有しており、
消費税の課税事業者となっています。
私がこのテナントビルを取得する方法として、
養子になって相続するか、遺言書で遺贈してもらうかを検討しています。
相続で取得する場合と、
遺贈で取得する場合で、
私の消費税の取扱いは変わるのでしょうか。
A
養子になって相続で取得する場合には、
被相続人の課税売上高を引き継ぐ形で消費税の課税事業者となりますが、
相続人ではない立場で遺贈により取得する場合には、
被相続人の売上高は考慮されず、
ご自身の基準期間の課税売上高のみで判定されます。
1.相続で取得する場合
養子になると、お祖父様の法定相続人となります。
法定相続人が被相続人の事業を承継した場合には、
被相続人の基準期間(通常2年前)の課税売上高を1,000万円を超えていれば、
たとえあなた自身の基準期間売上高が1,000万円以下であっても、
相続があった年の相続開始翌日から
12月31日までについて消費税の納税義務が免除されません。
つまり、課税事業者として消費税の申告・納税が必要となります。
さらに、相続開始年の翌年および翌々年についても、
被相続人と相続人それぞれの基準期間課税売上高を合計して
1,000万円を超える場合には、その年も課税事業者となります。
言い換えれば、相続による承継では、
被相続人の事業規模を引き継ぐ形で消費税の課税・免税判定が行われるのです。
2.遺贈で取得する場合
一方、養子にならず、
お祖父様の遺言書による特定遺贈でテナントビルを取得する場合は、
取扱いが大きく異なります。
消費税法基本通達1-5-3の注記には、
特定遺贈や死因贈与により事業承継が行われた場合には、
被相続人の基準期間では判定しないことが示されています。
したがって、お祖父様がどれほど多額の課税売上高を計上していたとしても、
それは受遺者であるあなたの消費税の納税義務の判定には一切影響しません。
あなた自身の基準期間における課税売上高のみで判定されます。
つまり、あなたが過去に事業を行っておらず、
基準期間の課税売上高がゼロまたは1,000万円以下であれば、
その課税期間については消費税の免税事業者として取り扱われ、
直ちに消費税の納税義務は生じません。
言い換えれば、遺贈による承継では、
消費税の課税事業者該当性が一旦リセットされるイメージになります。
これは特定遺贈や死因贈与によって事業を引き継いだ場合は、
法律上は「相続」による承継には該当しないと考えるためです。
3.実務上の留意点
この取扱いの違いから、
事業承継時の消費税負担を抑える観点で、
遺贈を活用するケースも考えられます。
ただし、このような手法は相続税や民法上の遺留分への影響なども踏まえた総合的な検討が必要です。
養子縁組をしない場合、
相続税の基礎控除や生命保険金の非課税枠などの
取扱いが変わる可能性があるほか、
遺言の内容によっては他の相続人との間で紛争が生じるリスクもあります。
5.まとめ
養子になって相続で取得するか、
遺言書で遺贈を受けるかにより、
消費税の納税義務に差異が生じます。
ただし、消費税だけの問題ではなく、
相続税の計算や遺留分などほかの税務・法務上の影響もありますので、
専門家に相談のうえ総合的に判断されることをお勧めします。
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渡邊と同じ中学・高校・大学の
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約20年にわたりベトナムと関わり、現地ホーチミンに在住。
ベトナムの宅建士資格も保持する、
まさに「ベトナム不動産のプロ中のプロ」です。
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