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1棟マンションに親子で住むと小規模宅地の減額は使える?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第250回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q父が10階建ての1棟マンションを所有しています。
1階部分に父が居住しており、
今度、10階の1部屋に私(子)が居住することになりました。
この場合、二世帯住宅とみなされて、
1階部分と10階の居住部分に相当する土地について、
居住用の小規模宅地の減額は適用できますか?
マンションは区分登記されていません。
また、私が家賃を払う場合(賃貸借)と払わない場合
(使用貸借)によって違いが出るのでしょうか?

A
1.小規模宅地の減額とは
小規模宅地等の特例とは、
相続開始の直前に、
被相続人が居住や事業、
賃貸に使っていた土地について、
一定の要件を満たした場合に、
相続税の課税価格を大幅に減額できる制度です。
居住用の場合は330㎡まで80%の減額、
賃貸用の場合は200㎡まで50%の減額が受けられます。

居住用の小規模宅地の減額を受けるためには、
①配偶者が取得する場合、
②同居する親族が取得する場合、
③同居する親族がいない場合に持ち家に住んでいない親族
(いわゆる家なき子)
が取得する場合のいずれかに該当する必要があります。

②の同居する親族の場合には、
相続開始の直前からその建物に居住しており、
相続税の申告期限まで居住と保有を継続していることが必要です。

2.二世帯住宅は「区分登記」の有無で判断される
かつては、建物の内部で行き来できる構造の二世帯住宅でなければ、
同居しているとはみなされませんでした。
しかし、平成26年1月1日以後の相続からは、
完全分離型の二世帯住宅であっても
同居しているとみなされるように改正されました。

ただし、ここで重要なのが「区分登記」の有無です。
区分登記されていると同居と認められる
二世帯住宅にはならないのです。

区分登記がされていなければ、
さらに、生計が別の子であっても、
「当該一棟建物に居住していた親族」に該当します。
1棟マンションで、他に部屋を賃貸していても同じ結論になります。

ご質問のケースでは、マンションは
区分登記されていないとのことですから、
お父様が1階に、あなたが10階にお住まいであっても、
お父様と子であるあなたの居住部分に対応する敷地も
「居住用」として80%減額の対象に含められるのです。

3.家賃を払うか払わないかで違いが出る
なお、10階の部屋に無償で住む場合(使用貸借)と、
お父様に家賃を支払う場合(賃貸借)とでは、
税務上の取扱いが異なってきます。

使用貸借の場合は、居住部分は
「親族が無償で居住している部分」として扱われます。
通達(69の4-7)でも、
被相続人所有の建物に親族が居住する場合に
「無償で借り受けていたものに限る」という文言があります。

一方、賃貸借の場合は、
あなたの居住部分が「貸付の用に供されている」と
評価され、居住用ではなく、
賃貸用と判断されてしまいます。

そうなると、居住用の80%減額ではなく、
貸付事業用の50%減額の対象となり、
適用できる減額割合が下がるリスクがあります。

ただし、賃貸借にすると、土地の相続税評価では
「貸家建付地」として評価され、
借家権割合や賃貸割合を考慮した減額が受けられるメリットもあります。

どちらが最終的に有利になるかは、
一棟マンション全体の居住用面積と賃貸用面積のバランス、
限度面積の調整計算によって変わりますので、
個別にシミュレーションが必要です。

4.まとめ
区分登記がされていない一棟マンションであれば、
お父様が1階、あなたが10階に住んでいても、
居住用の小規模宅地の減額(80%)の対象に含められます。
ただし、家賃を払うことにしてしまうと、
貸付用となってしまうので、
家賃を払わない使用貸借契約にしておく必要があります。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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