東京の中心で税務を叫ぶ 第78回コラム
そもそも相続時精算課税って何?
そもそも相続時精算課税って何?
どういう事か、お話します。
こんにちは!
令和5年度の税制改正では、「相続時精算課税」制度についても改正がありました。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の親などから18歳以上の子などへ、
2,500万円までの財産の贈与は贈与税がかからずに、贈与できる制度です。
合計で2,500万円を超える部分は、一律20%の贈与税が課税されます。
贈与したときに贈与税がなかったとしても、
将来、贈与した親が亡くなった時には、その贈与した財産は全て、
相続税課税されるため、税金を免除するものではなく、
相続財産を前渡しするための制度です。
もし2,500万円を超えてしまい贈与税を払ったときには、
払った贈与税は相続税から控除できます。
相続時精算課税制度は一度選択すると、撤回することができず、
その親からの贈与については、年間110万円の基礎控除(暦年贈与)が使えなくなるため、
その後、1円でも贈与したらすべて申告が必要な制度になっていました。
今回の改正で、令和6年以降は、
相続時精算課税を選択した場合でも2,500万円の非課税枠とは別枠で、
年間110万円までは贈与税がかからないことになりました。
また、この110万円以内の贈与は、相続財産にも含まれないことになりました。
つまり、相続時精算課税を選択した後も、今まで通り、
110万円以内の暦年贈与を適用できるのと同じ状態になるため、
相続時精算課税を選択しやすくなったと思います。
活用方法としては、例えばアパートなどの収益物件を所有して黒字経営ができていれば、
家賃収入などの収益が手元にどんどん溜まっていくことになります。
そのお金は将来的に相続財産となって、相続税がかかってきます。
そこで、相続時精算課税を利用して、収益物件を子や孫に贈与したとします。
贈与した物件自体は、最終的に相続財産に含まれてしまいますが、
家賃収入などの物件から発生する収益は子や孫に入るようになりますので、
その分のお金は相続財産から外すことができます。
ただ、相続時精算課税の注意点として、
相続税の計算に加算される財産の価格は、
贈与時点の価格になる点があげられます。
建物など、将来的に価値が下がっていくものを贈与すると、
贈与時点の価格をもとに相続税が計算されるため、
相続時点よりも高い価格で計算されることになり、
相続税が高くなる可能性があります。
まとめ
①令和6年以降は、相続時精算課税を適用した後も、年間110万円までの贈与は非課税となります。
②相続時精算課税を適用して将来価値が下がるものを生前贈与すると、相続税が高くなる可能性があるので注意しましょう。
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