東京の中心で税務を叫ぶ 第216回コラム
純資産マイナスでも株価はプラス?
純資産マイナスでも株価はプラス?
について、お話しします!
こんにちは!
先日、ある大家さんからこんなご相談を受けました。
「うちの会社、決算書の純資産がマイナスなんです。
今のうちに子供に株を贈与すれば、贈与税ゼロでいけますよね?」
なるほど、たしかにそう考えたくなりますよね。
決算書を見るとマイナス=株の値段もマイナス、
だから贈与しても税金はかからない、と。
でも実はこれ、大きな落とし穴なんです。
なぜ落とし穴なのか
いざ計算してみると、
「贈与税かかりますよ」という結果になることが珍しくありません。
理由はシンプルで、
決算書の純資産と、税務上の株価評価はまったくの別物だからです。
決算書の純資産がマイナスでも、
税務上の株価はプラス——こんなことが普通に起こるんです。
「えっ、同じ会社なのに?」と思いますよね。
考えてみると当然なんですが、その理由を3つに分けてご説明します。
ズレる理由①土地は「路線価」で評価し直す
決算書では、土地は買ったときの値段(簿価)で載っています。
ところが税務上の株価を計算するときは、
相続税路線価(国税庁が毎年公表する、
相続税計算用の土地価格)で評価し直すんです。
地価が上がっているエリアの物件だと、
買ったときよりも路線価のほうが
ずっと高くなっていることがあります。
すると、決算書では低かった土地が、
税務評価では大きく膨らみます。
ズレる理由②建物は「固定資産税評価額」で評価
建物も同じです。決算書では、
減価償却後の簿価(だんだん下がっていく帳簿上の値段)で載っていますよね。
でも税務上の株価では、市町村が決める固定資産税評価額を使います。
これが簿価より高いことが、賃貸物件ではよくあるんです。
ズレる理由③「建物のみ法人化」は借地権が上乗せされる
土地は個人で持ち、
建物だけ法人に移している大家さん、多いと思います。
この場合、法人は個人から土地を借りていることになるので、
借地権相当(更地価格の一定割合の権利)が法人の財産として上乗せされて評価されます。
決算書には載っていない「見えない財産」が、
税務評価では加算される、ということですね。
具体例で見てみましょう
Aさんの会社の決算書がこうだったとします。
・資産 4,500万円
・負債 5,000万円
・純資産 △500万円
これだけ見ると「マイナスだから贈与税ゼロ」と思いたくなります。
ところが、上の①~③で再計算すると、
・資産 6,200万円(土地と建物を路線価・固定資産税評価額で評価し直し)
・負債 5,000万円
・純資産 +1,200万円
決算書では△500万円だったのに、
税務上は+1,200万円。この1,200万円が贈与税の課税対象になる可能性があるわけです。
ここで大事なのは、決算書の数字をそのまま
「会社の値段」だと思い込まないことです。
➀決算書の純資産と税務上の株価評価は別物
②土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価し直すため、
決算書より高くなることがある
③決算書がマイナスでも、
税務上はプラスで贈与税がかかることがある。
贈与・相続を考えるときは、
必ず税務上の株価を確認してからにしましょう。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。





