ブログ

合同会社の意外な落とし穴〜子供を会社に入れたら贈与税?

東京の中心で税務を叫ぶ 第219回コラム

大家さん
大家さん
合同会社の意外な落とし穴〜子供を会社に入れたら贈与税?
大野
大野
今回は
合同会社の意外な落とし穴〜子供を会社に入れたら贈与税?
についてお話しします!

こんにちは!

「合同会社のほうが設立費用も安いし、手続きもシンプルですよ」

法人化を考えている大家さんが、
まずこう勧められることは多いのではないでしょうか?
たしかに合同会社は、
設立費用が株式会社の半分以下で済みますし、
一見、いいことづくめに見えます。

ところが、何年か経って
「子供にもそろそろ会社に関わってもらおうか」と
考え始めたときに、思わぬ落とし穴に
気づく方が少なくないんです。
株式会社と合同会社、根本的なちがいは?
ひとことで言うと、こうなります。

・株式会社:お金を出す人と、経営する人を分けられる会社
・合同会社:お金を出した人が、そのまま経営する会社

これだけだと「ふーん」という感じですよね。
でも、後継者を育てていくときに、
この違いがとても大きく効いてきます。
合同会社の「社員」はふつうの社員じゃない
ここで、ひとつ用語の整理です。

合同会社の出資者は「社員」と呼ばれます。
これ、ふつうにイメージする「会社員」ではなくて、
会社にお金を出したオーナーのことなんです。
株式会社でいう「株主」と「役員」を
兼ねた立場、とイメージしてください。

なぜこんな話をするかというと、ここからが本題だからです。
子供を会社に入れたい=持分の贈与が必須
例えば、Aさんが10年前に合同会社を立ち上げ、
賃貸経営をしてきたとします。

息子さんが30代になり、
「そろそろ会社に関わってもらって、
後々を任せていきたい」と考えたAさん。
そこで息子さんを社員に入れようとしたところ、
税理士からこう言われます。

「社員に入れるということは、
持分(合同会社の株のようなもの)を渡すということです。
贈与税の確認をしましょう」

ここがポイントです。
合同会社は「出資者=経営者」なので、
経営に加わってもらうには、
必ず持分を渡す=贈与する必要があるんです。

そして10年経った会社の純資産が、
たとえば3,000万円になっていたとします。
その一部をお子さんに贈与すると、
その分にしっかり贈与税がかかります。
「ただ会社に入ってもらうだけ」のつもりが、
思わぬ税負担と隣り合わせ、というわけです。
株式会社なら「役員に入れるだけ」でOK
これが株式会社だと、まったく違います。

株式会社は、株主(オーナー)と役員(経営する人)を分けられます。
だから、お子さんに会社に関わってもらいたいときは、
役員に入れるだけで済みます。
株は渡さなくていいので、
贈与税は発生しません。

「いまは経営に関わってもらいたいけれど、
財産はまだ渡したくない」
——こういう柔軟な動かし方ができるのが、
株式会社の強みなんです。
最初の選択が、将来の選択肢を決める
合同会社が悪いわけではありません。
ご自身お一人で完結する経営なら、
設立費用も維持コストも
軽い合同会社は十分よい選択です。

でも、いずれ家族に関わってもらう
可能性が少しでもあるなら、
株式会社のほうが将来の選択肢が広く残ります。
後から「合同会社→株式会社」へ
組織変更することも一応できますが、
保有している不動産の名義変更登記が必要になり、
かなりの手間とお金がかかります。

「設立費用が安いから」という
入口の数字だけで会社の形を決めてしまうと、
何年か経ったときに動かしにくくなる。
最初に何のために会社をつくるのか、
その先どう育てていきたいのかを、
ぜひ考えてから選んでいただきたいと思います。

まとめ

1. 合同会社は「出資者=経営者」が原則。
社員(出資者)を追加するには持分の贈与が必須で、
会社が育っていると贈与税が発生する
2.株式会社なら、株は渡さず「役員に入れるだけ」で済む。
財産と経営を切り分けられる
3.設立費用の安さだけで決めず、
将来の家族の関わり方まで考えて選ぶことが大切

 

大野税理士の他のブログはこちらから
楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
さらに詳しく知りたい方へ