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税理士・司法書士の渡邊浩滋 の 賃貸経営税務相談メール 第72号

税理士・司法書士の渡邊浩滋 の 賃貸経営税務相談メール
発行: 大家さん専門 税理士ネットワーク Knees bee

2026.6.30

こんにちは。
大家さん専門税理士・司法書士の渡邊浩滋です。
大家さんの知恵袋メルマガ2026年第72号です。
文字だけではなく、よりわかりやすく 皆さまにお伝えするため、
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《お知らせ》
1.金沢で無料リアルセミナー
大家さん専門税理士が語る! 「継ぎたい」に変える賃貸経営改善術
日時:7月18日(土)10:00~11:30
費用:無料
会場:株式会社サンコーすまいる 2階特設会場
石川県金沢市小坂町西77-3
申し込みTEL:076-252-0322
担当:山田裕也(ヤマダユウヤ)
(主催:株式会社サンコーすまいる ピタットハウス金沢東店)

2.賃貸住宅フェア2026in東京で出展&セミナー登壇
「大家さん専門税理士が語る!「継ぎたい」に変える賃貸経営改善術」
日時:7月29日(水)15:40~16:20(ビジネスセミナーA)
場所:東京ビッグサイト 西1・2ホール
費用:無料
賃貸住宅フェアHP:
https://zenchin-fair.com/2026/tokyo/about_fair

※※
会期は7月29日(水)・30日(木)の2日間です。
ブース会場では、Knees bee税理士法人が出展しております。
渡邊及びスタッフがお待ちしております。

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■ 税務相談質問箱
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今週のQ&A
Q1 遺言で自宅をもらったのに、小規模宅地の特例が使えない?
Q2 入居者に「謝礼金」を払いたい。経費にできる?

(Q1)遺言で自宅をもらったのに、小規模宅地の特例が使えない?
父が亡くなりました。
相続人は、長男(私・父と同居)と長女の2人です。
父は遺言を残しており、自宅の敷地(330㎡)は同居していた
私(長男)に「相続させる」と書かれていました。
一方、賃貸アパートの敷地(200㎡)については遺言に記載がなく、
長女との間で分け方がまとまらず、未分割のままです。
預貯金などその他の財産についても、
いまだ協議が続いています。
自宅は遺言で私が取得することが決まっていますし、
申告期限まで住み続け、持ち続けるつもりです。
これなら、自宅の小規模宅地等の特例は問題なく使えますよね?

(A1)
遺言で自宅の取得者があなたに決まっていても、
未分割の賃貸アパート敷地について長女の
「選択同意」が得られなければ、
自宅の敷地にすら小規模宅地等の特例を使うことができません。

しかも、当初申告の段階で同意書を添付できないと、
後から同意が得られても救済されませんので、ご注意ください。

1.小規模宅地の特例は「どの土地に充てるか」を全員で決める制度
小規模宅地等の特例には、適用できる面積に上限があります。
そのため、特例の対象となり得る宅地が複数ある場合、
「どの土地に特例を充てるか」によって、
各相続人の税額が変わってきます。

たとえば、評価額の高い自宅に充てれば
相続税の総額は下がりますが、
長女ひとりの税額だけを見れば、
自分が取得した賃貸敷地に充てた方が得、
ということも起こります。

つまり、相続人同士の利害が正面からぶつかるのです。

そこで税法は、特例対象となり得る宅地を
取得した人が複数いる場合には、
その全員が「どの土地に特例を充てるか」
について同意し、
その選択同意書を相続税の申告書に添付することを
求めています。

相続人が1人だけの場合を除き、
この同意は必ず必要です。

2.遺言書と選択
遺言で決まっている自宅だけを見ればよい、
とはなりません

「特例の対象となり得る宅地を取得した人は誰か」
という点が問われます。

・自宅敷地 … 遺言であなた(長男)が取得することが確定している
・賃貸アパート敷地 … 遺言に記載がなく、未分割

未分割の財産も、相続税の計算上は
「相続又は遺贈により取得した財産」に含まれます。

つまり、未分割の賃貸敷地も
「特例の対象となり得る宅地」であり、
それを共有の形で取得してい
るのは、長男・長女を含む相続人全員ということになります。

その結果、長女もまた
「特例対象となり得る宅地を取得した人」に当たります。

したがって、遺言で確定している自宅に
特例を充てるためにも、
長女の選択同意が必要になるのです。

同様の事例の裁判(平成29年1月26日高裁判決)でも、
未分割である共同相続人全員の同意がなけれ
ば、遺言で取得した相続人にも特例は使えない、
と判断しています。

3.選択同意とは
同意は、相続税申告書の
「第11・11の2表の付表1(小規模宅地等についての課税価格の計算明細書)」
にある「特例の適用にあたっての同意」欄に、
特例対象となり得る宅地を取得した人全員の氏名を
記載することで示します。

ここで実務上ありえるのが、
相続人がそれぞれ別の税理士に申告を依頼しているケースです。

相続人が別々に申告する場合、
この同意の取り付けがそのまま適用の可否を左右します。

なお、自分の税理士に税務代理を
依頼していない相続人は、
申告書1表で「参考として記載している場
合」に丸を付けることになりますが、
それだけでは「選択に同意した」
ことの証明にはなりません。
あくまで付表1の同意欄に氏名が必要です。

4.当初申告で同意が取れないと
選択同意書には「宥恕規定」がありません。
つまり、当初の申告書に添付しなければ、
その時点で特例は使えなくなります。

「とりあえず特例なしで申告しておいて、
後で同意が取れたら更正の請求で取り戻そう」ということは
できないのです。

更正の請求の要件である、
計算の誤り等があった場合には当たらないのです。
当初申告は、同意がない以上、
法律どおりの正しい申告だからです。

ですから、「当初申告までに同意を取り付ける」ことが、
特例適用の絶対条件になります。
まずは、この同意が取れるように
話し合いをすることが大事です。

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(Q2)入居者に「謝礼金」を払いたい。経費にできる?
2年以上続けて住んでくれた入居者の方に、
感謝の意味で謝礼金をお渡ししようと思っています。
この謝礼金は、経費として落とすことができるのでしょうか。
また、入居者へのキャッシュバックのようにも
見えますが、法律上、何か問題はないでしょうか。

(A2)
1.必要経費になるか?
結論から言うと、必要経費にできます。
長く住み続けてもらうことは、
裏を返せば「退去を防ぐ」ということです。

退去が出れば、空室期間の家賃損失に加え、
原状回復費、次の入居者を見つけるための
仲介手数料や広告料(AD)がかかります。

謝礼金 → 退去を防ぐ
→ 空室・原状回復・募集費の削減
→ 家賃収入の維持
という流れで、
賃貸収入を守るための支出と説明できます。

必要経費とは、収入を得るために直接必要な費用や、
その業務について生じた費用のことです。
長期入居の謝礼金は、この考え方に
あてはめて経費にできるわけです。
勘定科目は「交際費」
「広告宣伝費」や「販売促進費」
あたりで処理します。

ただし「贈与」に見えないように
することがポイントです。

単なる「お礼」「お気持ち」
として渡してしまうと、
見返りのない贈与(寄附金)と見られ、
経費を否認されるおそれがあります。

避けるためには、
「入居を続けてもらうためのインセンティブ」
という業務上の目的をはっきりさせておくことです。

おすすめしたいのが、契約書・合意書での明確化です。
 ・支給条件(例:2年以上続けて入居した方)
 ・金額、支払時期、現金で支払うこと
 ・途中解約・家賃滞納・契約違反があった場合は不支給とすること
これらを、賃貸借契約書の特約や覚書として書面に残しておきます。

こうしておけば、税務調査で「目的」と
「条件」を客観的に示すことができ、
贈与ではなく業務上の支出だと説明できます。

また、金額も大切です。
社会通念上、相当な範囲、
つまり再募集にかかるコスト
(募集費+空室期間の家賃+原状回復費)と比べて
合理的な金額に収めておけば、
否認リスクは下がります。

2.「キャッシュバック」に該当するの?
「これはキャッシュバックでは?
 景品表示法に引っかからないか」
と心配される方もいます。

まず、景品表示法では「謝礼」
「お礼」「キャッシュバック」
といった名前では判断されません。
中身で判断されます。

そのうえで、現金のキャッシュバック
(事後的な割戻し)は、
原則として「値引き」として扱われ、景品規制の対象外です。

ですので、
 ・現金で
 ・条件を満たす入居者全員に(抽選ではなく)
 ・支払った賃料の総額を下回る額で
渡す限り、これは実質的な「値引き(割戻し)」であり、
景品規制はかかりません。

逆に、次のようなやり方をすると
「値引き」と認められず、景品扱い
(規制対象)になってしまうので注意してください。
 ・抽選やくじで対象者を決める
→ 懸賞景品(不動産では限度額10万円)
 ・QUOカードや商品券など現物で渡す
→ 使途が限られ、総付景品になりうる
 ・賃料総額を超える額を割り戻す
→ そもそも値引きと認められない

なお、自分の物件を貸す大家さんは宅建業者で
はないため、
不動産業界の景品規約の直接の対象ではありません。

ただし、一般の景品表示法
(不当景品類及び不当表示防止法)における
「事業者」は「商業、工業、金融業その
他の事業を行う者」と定義されており、
賃貸業を営む個人大家も景品表示法の
「事業者」として同法の適用を受
ける可能性があります。

それでも、上記の
「現金・全員・賃料総額の範囲内」を
守っておけば問題ありません。

3.受け取った入居者側はどうなる?
もらった入居者側の謝礼金は、
入居者の方にとっては「一時所得」に
なる可能性があります。
ただし一時所得には50万円の特別控除があるため、
少額であれば税金が出ないことがほとんどです。

また、この種の謝礼金は
源泉徴収の対象にもなりませんので、
大家さん側で天引きをする必要はありません。

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大家さん専門 税理士ネットワーク Knees bee

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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