東京の中心で税務を叫ぶ 第220回コラム
ミニマムタックス(1億円の壁規制)って大家さんにも関係あるの?
ミニマムタックス(1億円の壁規制)って大家さんにも関係あるの?
についてお話しします!
こんにちは!
最近、「ミニマムタックス」という言葉をニュースで目にすることが増えました。
「超お金持ちへの増税でしょ?ウチには
関係ないよ」と思った大家さん、実はちょっと待ってください。
この制度、上場株の売却益だけでなく
「不動産の売却益」も対象なんです。
普段の家賃収入には関係ありませんが、
「物件を売る年」だけは話が別です。
■ そもそも「ミニマムタックス」って何?
キーワードは「1億円の壁」です。
家賃収入や給与は、
所得が増えるほど税率が上がる「総合課税」で、
所得税の最高税率は45%。
一方、株や不動産を売ったときの利益(譲渡所得)は、
他の所得と分けて税金を計算する「分離課税」で、
長く持っていた不動産なら所得税は一律15%です。
そのため、所得が1億円を超えたあたりから、
逆に税負担率が下がる現象が起きていました。
これが「1億円の壁」です。ちょっと不公平ですよね?
これを直すために令和7年分から始まったのが
ミニマムタックス。仕組みはシンプルで、
(A)(その年の所得の合計−3.3億円)×22.5%
(B)通常どおり計算した所得税
を比べて、(A)が(B)を上回ったら、
その差額を追加で納めるという制度です。
■ 大家さんに関係あるのは「売却の年」
家賃収入だけの大家さんは、
基本的に対象になりにくいのでご安心ください。
注意したいのは、複数棟をまとめて売る年や、相続した物件を売る年です。
先代から引き継いだ物件は取得費(買った金額)が
不明な場合が多く、売却金額の大部分が譲渡所得になるからです。
たとえば、Aさんが複数棟を売却して譲渡所得が5億円になった場合。
通常の所得税は、5億円×15%=7,500万円。
ミニマムタックスは、(5億円−3.3億円)×22.5%=3,825万円。
通常の所得税の方が大きいので、追加の納税はありません。
(復興特別所得税と住民税は省略しています)
■ 令和9年分からハードルが半分に下がります
ところが令和8年度の税制改正で、令和9年分から、
控除額が3.3億円→1.65億円に、税率が22.5%→30%に強化されます。
先ほどのAさんで計算し直すと、(5億円−1.65億円)×30%=1億50万円。
通常の所得税7,500万円との差額、
約2,550万円を追加で納めることになります。
同じ物件を、同じ金額で売ったのに、です。
なお、ふるさと納税やiDeCoなどの所得控除では、
この追加納税は減らせません。
ここで、大家さん専門税理士として
率直な感想を言わせていただくと、
この制度は本来、投資目的の株や
不動産の売買で巨額の利益を上げる富裕層を想定したはずです。
ところが、相続をきっかけにやむを得ず物件を売る大家さんまで
課税される可能性がある——制度の趣旨からすると、
少し首をかしげたくなります。
とはいえ、決まった以上はルールです。
これは「急いで売りましょう」という話ではありません。
大切なのは、売却や相続が視野に入ったら、
「売った後、手元にいくら残るのか」を事前に
シミュレーションしておくこと。
平時から出口や承継まで含めた資金計画を立てておきたいですね。
・ミニマムタックスは、
上場株だけでなく不動産の売却益も対象になる追加課税の制度です
・家賃収入だけの大家さんは基本的に
心配いりませんが、物件の売却益が大きくなる年は要注意です
・売却の予定がある方は、
税額だけでなく「いつ・いくら手元に残るか」を
シミュレーションしてから判断しましょう
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。





