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駐車場の地目は雑種地か宅地どっち?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第275回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。


Q
先代から引き継いだ土地を舗装して、
コインパーキング業者に一括で貸しています。
登記簿の地目は、昔から雑種地のままです。
ところが先日届いた固定資産税の課税明細書を見たら、
地目が「宅地」になっていました。建物は一棟も建っていません。
登記簿と違うのですから、間違っているのではないでしょうか。
雑種地に直してもらえば、税金は下がるのではないですか。

A
間違いではありません。
固定資産税の地目は、
登記簿ではなく1月1日の現況で決まります。
そして、雑種地に直れば下がる、とも限りません。

1.地目は現況で決まる
土地の評価は、地目ごとに方法が決まっています。
その地目の認定について、
固定資産評価基準はこう定めています。

当該土地の現況及び利用目的に重点を置き、
土地全体としての状況を観察して認定する
(固定資産評価基準 第1章第1節一)。

固定資産評価基準は、
地方税法388条1項に基づいて総務大臣が告示するもので、
全国の市町村はこれに従って評価します。

地目は、田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、雑種地の9つ。
その区分は、不動産登記事務取扱手続準則68条・69条に準じて行います。

登記簿の地目は、所有者が変更の登記を申請しなければ動きません。
課税のほうは、毎年1月1日の現況を見ます。

ですから、登記簿と課税明細書で地目が食い違うのは、
誤りではなく仕組みです。

2.駐車場の地目は、原則は雑種地。ただし運用が分かれる
宅地とは、建物の敷地及びその維持若しくは
効用を果たすために必要な土地をいいます(準則68条3号)。

ですから駐車場の地目は、
建物と認定されるものが建っていれば宅地、
建っていなければ雑種地、というのが原則です。
立体駐車場の建物があれば宅地、
青空駐車場なら雑種地ということになります。

月極めか時間制かは、地目の認定に関係ありません。
ところが、ここから先は自治体で運用が分かれます。

東京都主税局は、宅地造成が終了している駐車場等は宅地と認定する、
という取扱いを明らかにしています。
建物がなくても宅地になるということです。

舗装して区画を切った駐車場は、
宅地にするための造成がもう終わっている土地だ、
という見方です。ご相談のケースはこれにあたります。
一方、駐車場はあくまで雑種地として扱い、
評価の段階で調整する自治体もあります。次の節の話です。

3.雑種地になれば下がる、とは限らない
雑種地の評価は、雑種地の売買実例価額から評定する方法が原則です。
市町村内に売買実例価額がない場合は、
土地の位置、利用状況等を考慮して、
附近の土地の価額に比準します(固定資産評価基準 第1章第10節一)。

実務では、近傍の宅地として評価した価額に
一定の割合を乗じます。
この割合を比準割合といいます。

宅地に転用するための造成費がまだかかるぶんを引く、
という考え方です。
裏を返せば、造成が済んでいる土地には引くものがありません。

その結果、比準割合は自治体によってばらつきます。
市街化区域の造成済みの雑種地を宅地と同じ100%で
評価する市もあれば(川越市)、
舗装済みの駐車場でも60%にとどめる市もあります(淡路市)。

国の評価基準が比準割合を定めていないためで、
評価基準に明示してほしいという
要望が自治体側から出ているのが実情です。
駐車場や資材置場のように現況が宅地に
似ている雑種地は宅地並みに評価している団体が多い、
とも報告されています
(資産評価システム研究センター・
令和3年度の土地評価に関する調査研究)。

つまり、宅地と認定されたから高い、
雑種地なら安い、という話ではありません。
どちらの名前が付くかよりも、比準割合がいくつかのほうが効きます。

4.地目で変わらないもの、地域によっては逆転するもの
地目が宅地でも雑種地でも、変わらないものが二つあります。
一つは住宅用地の特例です。
どちらであっても使えません。
住宅が建っていないからであって、地目とは関係がありません。

もう一つは負担調整措置です。
雑種地であっても、宅地の価額に比準して価格が決められていれば
「宅地比準土地」として商業地等に含まれます
(地方税法附則17条4号)。
課税標準額が評価額の70%を上限とする点は、
宅地と同じです。
そのうえで、地域によっては逆転が起きます。

東京23区では、
一画地の非住宅用地の面積が400㎡以下であれば、
そのうち200㎡までの部分について、
固定資産税・都市計画税の2割が減免されます。
所有者が個人、または資本金もしくは
出資金の額が1億円以下の法人であることなどが要件で、
平成14年度から続いており、令和8年度も実施されています。

この減免の対象になるのは、
現況の地目が宅地となっているものだけです。雑種地や農地は対象になりません。

23区の小ぶりな駐車場では、
宅地と認定されたほうが有利になることがある、
ということです。しかも、申請しなければ受けられません。

ほかの自治体に同じような制度があるかというと、
非住宅用地一般を対象にした減免は
あまり見当たりません。
政令指定都市の減免条例を見ても、
災害、生活困窮、公共的な用途といった事由が中心です。

23区以外では、地目で変わるのは評価額だけ、
と考えておけば足ります。

5.まとめ
登記簿と課税明細書で地目が違うのは、
間違いではありません。
そして、地目の名前だけで損得は決まりません。
見るべきは、価格がどう算出されているかと、
その自治体に使える減免があるかどうかです。

課税明細書を持って、市町村の資産税の窓口
(23区なら都税事務所)で
算出根拠を聞くことができます。

比準割合の運用は自治体ごとに違い、
実態しだいで判断も分かれます。ご心配な方は専門家にご相談ください。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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