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パブリックコメントのお願い

【10月18日まで】建て替えを5年ルールの対象外に。パブリックコメントの出し方と意見の見本

国税庁が公表した「貸付用不動産の評価について」の通達案、
いわゆる5年ルールについて、10月18日まで意見を募集しています。
既存の建物の増築・改築は対象外と明記されました。
しかし、建て替えは書かれていません。
今の文言では、新築として対象になると読めます。
長年続けてきた賃貸の建て替えまで、
相続直前の駆け込み購入と同じに扱うのはおかしい。
そう思われた方のために、意見の出し方と見本をまとめました。
私は、9月24日に意見を出しました。

1.意見の出し方
(1)e-Govのフォームから出す
意見募集のページを開きます。
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410080055&Mode=0
ページの下にある
「意見募集要領及び命令などの案の全部を確認しました」にチェックを入れると、
意見入力フォームに進めます。
氏名または名称と連絡先を入力し、意見を書いて送信するだけです。

(2)郵送でも出せる
〒100-8978
東京都千代田区霞が関3-1-1
国税庁 課税部 資産評価企画官 審査係 宛
封筒の表面に「『貸付用不動産の評価について(案)』に対する意見」と書きます。
10月18日必着です。

(3)知っておきたいこと
締切は10月18日(日)17時です。
・大家さん本人でも、法人名でも出せます。
資格や立場は問われません。
・氏名または名称と、連絡先を付記します。
公表される場合でも、氏名と連絡先は除かれます。
・電話では受け付けていません。個別の回答もありません。
・長く書く必要はありません。200字程度で十分です。
・数ではなく内容が見られます。
同じ文面が何通届いても、一つの意見として扱われます。

2.意見の骨組み
次の3つを書けば十分です。
【該当箇所】
別紙2「貸付用不動産の評価について(案)」 1の表の4

【意見】
継続して賃貸してきた建物の建て替えについても、
増築又は改築と同様に、対象から除外してください。

【理由】
ここに、ご自身の事情を書きます。
理由に使えるのは、次のような点です。
・増改築は対象外なのに、建て替えは対象。この区分に合理性がない
・建て替えは、立ち退きや設計、資金調達に年単位かかる。相続直前に駆け込みでできるものではない
・小規模宅地等の特例の通達では、建て替えは事業の継続として扱われてきた
・耐震性や断熱性に劣る建物の建て替えを、ためらわせることになる
・建築費が高騰している中で、相続税まで上がる

3.理由の見本
【該当箇所】と【意見】はそのまま使えます。
【理由】は、ご自身の状況に近いものを選んで書き替えてください。

(見本1)建て替えで土地を有効に使いたい
築45年の木造アパートを所有し、
40年以上賃貸を続けてきました。老朽化が進み、
RC造に建て替えて土地を有効に活用したいと考えています。
建て替えは、入居者の立ち退きや資金調達に何年もかかるもので、
相続直前に思い立ってできるものではありません。
相続直前の駆け込みの購入と同じに扱われることに納得ができません。
増改築が対象外であれば、
その延長にある建て替えも対象外とすべきだと考えます。

(見本2)老朽化と耐震性が心配
昭和56年より前に建てられた木造アパートを相続し、
30年以上賃貸してきました。耐震性に不安があり、
入居者の安全を考えると、建て替えるほかありません。
しかし、建て替えてから5年以内に相続が起きると
相続税が大きく増えると知り、決断できずにいます。
安全のための建て替えをためらわせる取扱いは、
住宅の耐震化という政策にも反すると考えます。

(見本3)高齢の親の物件をどうするか
80代の父が所有する築50年のアパートについて、
家族で建て替えを検討しています。
父に相続が起きるのが5年以内であれば建物が時価で評価されると知り、
建て替えを見送るべきか迷っています。
長年賃貸を続けてきた建物の建て替えであり、
相続税を減らすための駆け込みの取得とは異なります。
親の代から続けてきた賃貸を次の世代に引き継ぐための建て替えまで対象とするのは、
通達の趣旨に合わないと考えます。

4.一つだけ、お願いです
パブリック・コメントは、意見の「量」ではなく「内容」を考慮する制度です。
同じ内容の意見がいくら集まっても、その数は考慮の対象になりません。

つまり、見本を写して送るだけでは、
何通出しても一つの意見と変わらないのです。

逆に言えば、内容が違えば、
それぞれが一つの意見として考慮されます。
築年数、構造、地域、家族の状況。大家さんの事情は、一人ひとり違います。
その違いが、そのまま意見の違いになります。

見本の【理由】に、
ご自身の物件の事情を1〜2文、必ず加えてください。
それが、あなたにしか書けない意見になります。

締切は10月18日17時。大家さんの声を届けましょう。

5.参考:私が提出した意見(全文)
【受付画面の画像(住所・電話・メールアドレスは切り落とす)】
以下は、税理士としての私の意見です。
そのまま写すと、何通出しても一つの意見と同じ扱いになります。
ご自身の物件の事情で書いてください。

【意見提出者】
税理士 渡邊浩滋(Knees bee税理士法人代表)
賃貸不動産オーナーを専門とする税理士であり、自らも賃貸不動産を所有する者です。

【該当箇所】
別紙2「貸付用不動産の評価について(案)」 1の表の4及び表の5

【意見】
継続して貸付けの用に供されていた家屋等を建て替えた場合の当該家屋等
(建替え後、速やかに貸付けの用に供されるものに限ります。)を、
本項の適用対象から除外していただきたい。
なお、更地への新築や、新たに取得した土地の上の新築まで対象外とすることを求めるものではありません。

【理由】
1.案の文言では、建替えの取扱いが明らかではありません
表の4は「増築又は改築」に係る部分を対象外としていますが、建替えについての定めはありません。
建築基準法上、「改築」は従前の建築物と用途、
規模、構造が著しく異ならないものを建てることと解されており、
同規模の建替えは「改築」に含まれるとも読めます。
他方、表の5が制定日後の新築を広く対象とする構造であることからすれば、
建替えは「新築」として対象になるとも読めます。
本通達案は、その趣旨に「予測可能性の向上」を掲げています。
まず、この点を明確にする必要があると考えます。

2.建替えは、増築・改築と同様に、
継続してきた貸付事業の延長です
増築・改築に係る部分も、新たな支出により生じた資産であり、
支出額と固定資産税評価額との間に乖離が生じます。
それでもなお対象外とされたのは、
既存の貸付事業の継続の範囲内にあるものだからと理解しています。
建替えも同じです。老朽化した家屋は、
増築・改築では対応できない段階に至れば、
建て替えるほかありません。
増築・改築は対象外とし、
建替えを対象とする区分に、
合理性を見出すことができません。

3.建替えは、課税時期の直前に恣意的に行えるものではありません
建替えには、入居者との明渡しの交渉、
設計、資金調達、近隣への対応が必要であり、
着手から完成まで年単位の期間を要します。
相続の開始が近いことを見越して財産を取得し、
評価額との乖離を利用する行為とは、性質を異にします。

4.建替えは、これまで「事業の継続」として一貫して取り扱われてきました
租税特別措置法関係通達69の4-24の3は、
継続的に賃貸されていた建物を建て替え、
建替え後速やかに賃貸した場合には「何らの利用がされていない場合」に
当たらないとし、同(注)2は「新たに貸付事業の用に供された」時を
建替え前の賃貸の開始の時としています。
相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等を除外する規定、
すなわち駆け込みの貸付けを規制する規定においても、
建替えは駆け込みに当たらないものとして取り扱われています。
また、同69の4-5は建替え中に相続が開始した場合を、
同69の4-19は申告期限までに建て替えた場合を、
それぞれ事業の継続として手当てしています。
他方、同69の4-24の2(注)1は、
建替え以外の新築や募集の準備行為までは
救済しないことを明らかにしています。
建替えのみを他の新築と区別して手当てする取扱いは、
既に確立しているものと考えます。

5.経過措置では救済されません
表の5は、制定日までに新築(建築中を含む。)
された家屋等を対象外とするにとどまります。
建替えは着手までに相当の期間を要するため、
現に建替えを検討している所有者の多くは、
制定日までの着工が間に合いません。
耐震性や断熱性に劣る老朽建物の建替えは、
住宅政策上も要請されているところです。
建築費が高騰する中、建替えに相続税の負担増が加わることは、
建替えの先送りを招きかねないと考えます。

【具体的な修正案】
(案1)表に次の項目を加える。
「6 課税時期前5年以内に、
継続して貸付けの用に供されていた家屋等
(課税時期前5年以内に対価を伴う取引により取得等されたものを除く。)
を取り壊し、その敷地であった土地等の上に新築された家屋等
(当該新築後速やかに貸付けの用に供され、かつ、
貸付け以外の用に供されていないものに限る。)」

(案2)注として次を加える。
「継続して貸付けの用に供されていた家屋等を取り壊し、
その敷地であった土地等の上に新築された家屋等
(当該新築後速やかに貸付けの用に供されたものに限る。)については、
本項の適用上、その取得等の時を建替え前の家屋等の取得等の時とする。」

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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