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調整区域だと、アパートの駐車場は住宅用地の減税にならない?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第277回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。


Q
市街化調整区域に、
アパートと入居者専用の駐車場(別筆)があります。

駐車場の分だけ住宅用地の軽減がされていないので
市役所に聞いたところ、
調整区域は原則として建物を建てられないので適用できない、
1筆の中にアパートと駐車場があれば
駐車場も対象になるが筆が違うので対象外だ、
と言われました。
そういうものでしょうか?

A
そういうものではありません。
区域区分で扱いを分ける規定も、筆で切る規定も、法令にはありません。
ただし、別の理由で外れている可能性はあります。

1.市の説明は、二つとも法令にない
住宅用地の要件は、
地方税法349条の3の2と施行令52条の11で全国一律に決まっています。
特例率を条例で決められる
「わがまち特例」とは違い、
市町村が要件を変えられる仕組みではありません。

そして、市街化区域と市街化調整区域を分ける規定は、
法律にも政令にも通知にもありません。

「原則として建物を建てられない」というのは、
都市計画法上の建築規制の話です。
住宅用地にあたるかどうかは、
1月1日に現に住宅の敷地として使われているかで決まります。
アパートはすでに建っていますから、
駐車場の筆に新しく建物を建てる必要はありません。

また、平成9年4月1日 自治固第13号は、
数筆の土地が一体として利用されているような場合には
数筆にわたって一画地を認定するとしています。

2.では、なぜ外れているのか
窓口の説明が的を外していることと、
この駐車場が住宅用地にあたることは、別の話です。
実際に外れる理由として、
次のものが考えられます。

① 申告されていない。
駐車場の筆が、
独立した駐車場として
登録されたままになっている。
あとから駐車場を整備した場合や、
アパートと駐車場で名義が違う場合に起こります。
市は一画地だと気づかないのです。

② 入居者以外が使っている区画がある。
オーナーご自身、管理会社、
近隣の方。一部でもあれば、その部分は外れます。

③公図で、間に里道や水路が入っている。
調整区域では珍しくありません。
別の土地が挟まっていると、
別の画地と見られやすくなります。

④ 家屋の床面積の10倍を超えている。
調整区域は敷地が広くなりがちです。
超えた部分は住宅用地になりません。

⑤ 1月1日の時点で、資材置場だった、整備の途中だった。

3.直し方
まず課税明細書を見ます。
駐車場の筆の地目と、住宅用地の表示があるかどうかです。
そのうえで、住宅用地の申告書を出して、認定の見直しを求めます。
添えるのは、配置図、写真、全区画の契約者と入居者の対照表です。
全部の区画が入居者の利用であることが示せれば、
話は早くなります。

窓口の説明に納得がいかなければ、
どの条文・通知・認定基準によるものかを
文書で示してもらってください。
市町村の住宅用地の認定基準は内規ですが、
情報公開請求で取ることもできます。

それでも動かないときは、
県の市町村税担当課に照会する手もあります。
総務省の通知は県を通じて市町村に伝えられており、
県は助言する立場にあります。

4.不服申立ては、入口を間違えない
固定資産税の不服には二つの入口があり、
価格そのものへの不服は、
固定資産評価審査委員会への
審査の申出です(地方税法432条)。

ところが住宅用地にあたるかどうかは、
価格ではなく課税標準の話です。
ですから、審査の申し出ではありません。

市長への審査請求になります。
期限は、納税通知書を受け取った日の
翌日から3か月以内です。

過年度の分も取り戻せます。
固定資産税の賦課決定は、
法定納期限の翌日から起算して
5年を経過した日以後はできないとされており
(地方税法17条の5第5項)、
認定が改まれば通常は5年度分まで
さかのぼって減額・還付されます。

5年を超える部分についても、
独自の返還要綱を設けている自治体があります。
応じない場合は国家賠償請求という道もあり、
最高裁平成22年6月3日判決は、
審査の申出や取消訴訟を経なくても
直接請求できるとしています。

5.まとめ
なお、認定が改まると、
駐車場の筆はアパートと一体の宅地として扱われ、
評価額そのものは上がることがあります。
それでも6分の1が効きますから通常は税額が下がりますが、
動く前に試算しておくほうが安全です。

窓口の説明が法令と合っていないことは、
実際にあります。おかしいと思ったら、
根拠を聞くところから始めてください。
ただし、判断が分かれる場面ですので、
課税明細書と公図、
駐車場の契約状況を揃えたうえで、
専門家にご相談ください。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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