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リーゼント先生のやさしい相続
第五回「遺産分割がまとまらない!!」

被相続人の遺産分割は、遺言による指定がある場合には、これに従うこととなるでしょう。他方、遺言がない場合については、「第3回 誰がいくらもらえるの?!相続財産」にて触れたように民法に規定する法定相続分により分割をすることとなります。

しかし、相続人全員での合意があれば遺言や法定相続分とは異なる割合にて遺産分割をすることができます。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。

本稿では、遺産分割協議がまとまらない場合の相続税への影響(デメリット)について触れます。

1.相続税の申告期限

遺産分割協議はいつまでという期限はありません。しかし、相続税の申告期限が「その相続開始があったことを知った日の翌日から10月以内」とされていることから、遺産分割協議についても相続税の申告に間に合うように行います(申告期限までに申告をしない場合は無申告加算税が納税額の5%~15%課されるからです。)。

2.遺産分割協議がまとまらない(未分割の)場合の相続税申告

分割協議がまとまらない(いわゆる未分割の)場合でも、相続税の申告書は上記1.の期限までに提出をし、納付を済ませる必要があります。

民法では遺産分割協議の期限を定めてはいないため、分割協議がまとまらないことを理由に申告期限の延長を認めてしまうことは、相続税の申告期限を無制限に延長することにつながるからです。

よって、相続税の申告期限までに分割協議が定まって申告及び納付をする相続人等との負担の公平を図るため、このような場合には民法の規定による法定相続分をベースとした仮計算により相続税の申告を行うこととされています。

3.未分割の場合の相続税申告上のデメリット

遺産が未分割となっている場合の相続税の申告上のデメリットは、未分割の遺産については主に①配偶者の相続税額の軽減、②小規模宅地等の課税の特例を適用することができないことです。

特に、①及び②については相続税の負担を大幅に軽減する効果のある優遇措置であり、これを適用できない場合の税負担は過重なものとなることが予測されます。

ただし、申告期限から3年以内に分割協議が調った場合には、特例を適用して再計算をすることにより申告の是正を行うことができます。

まとめ

遺産が未分割の場合には特例の適用ができないデメリットがありますが、これは後日分割協議がまとまることにより是正をすることができます。しかし、当初の税負担が重くなり納税資金の確保を要することや所有者が確定しないことには遺産の処分などができないこともデメリットと言えるでしょう。

遺言書などがあっても揉めるケースも多々ありますが、財産の保全と合わせて親族関係なども守られるような事前対策も重要ですね。

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羽藤徹夫
羽藤徹夫
税理士法人 大石会計事務所所属。 高校卒業後は主にガテン系の肉体労働に従事。体力の限界を感じ、税理士試験の勉強を開始。合格を機に税理士試験の受験専門学校へ転職。大原簿記専門学校で相続税法、法人税法の教鞭をとった経験を元に、相続税をやさしくわかりやすく解説。
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