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リーゼント先生のやさしい相続
第十二回「家を建てるなら、住宅取得等資金贈与!?②」

前回(「第11回家を建てるなら、住宅取得等資金贈与?!①」)に引続き、住宅取得等資金贈与を整理していきます。本制度は、要件のボリュームも多いので2回に分けて、第2回の本稿では受贈者の要件とともに相続時精算課税選択の特例についてもまとめていきます。

1.受贈者の要件

次の要件の全てを満たす受贈者が非課税特例の対象となります。

①贈与時に贈与者の子や孫などの直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること

②贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること

③贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること

④贈与時に日本国内に住所を有していること(一定の場合を除きます。)
なお、贈与時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。

⑤贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用家屋の新築等をすること(受贈者が所有(共有持分を有する場合を含む。)する場合に限る。)

⑥贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること

⑦平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます。)

⑧自己の配偶者、親族などの特別関係者から住宅用家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらとの請負契約等により新築等をしたものではないこと

2.贈与税の計算

住宅取得等資金の特例による贈与を受けた場合の暦年課税による贈与税額の計算方法は以下のとおりとなります。

【計算方法】

(住宅取得等資金-非課税限度額-基礎控除額(110万円))×税率=贈与税額

住宅取得等資金の特例の非課税限度額は、贈与税の非課税とされているため贈与税の課税価格には含まれないこととなります(よって、贈与税の計算上控除されるのは、非課税限度額に基礎控除額を上乗せされた金額となります。)。

3.相続時精算課税選択の特例

平成33年12月31日まで(住宅取得等資金贈与の特例の適用期限)に、直系尊属(両親、祖父母など)からの贈与により、住宅取得等資金を取得した場合で、一定の要件を満たすときには、贈与者がその贈与年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。

ただし、住宅取得等資金の贈与の特例と併用して適用する場合には、その贈与の特例適用後の住宅取得等資金について非課税の適用を受けていない残額がある場合に限り、適用がされます。

4.相続時精算課税選択の特例の適用要件

贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫であること、かつ、住宅取得等資金贈与の特例の受贈者の要件(「1.受贈者の要件」を参照)、居住用家屋の新築等の要件を原則として満たしていることが必要です。

また、適用を受けるためには贈与税の申告期限までに、相続時精算課税選択の特例の適用を受ける旨の贈与税の申告書に相続時精算課税選択届出書など一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署長に提出をする必要があります。

5.住宅取得等資金の贈与特例又は相続時精算課税選択特例の適用を受ける場合の注意点

①直系尊属に配偶者の両親は含まれないこと

②住宅取得等資金の贈与特例については、受贈者の所得制限があること

③住宅取得等資金として一括贈与を受けた部分の金額については、その全額を住宅用家屋の新築等に充てなければならないこと

④面積制限があることから、小規模(50㎡未満)のものや大規模(240㎡超)のものには適用がされないこと

⑤小規模なリフォーム(増改築費が100万円未満)については適用がされないこと

贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできないこととなりますので、修正申告が必要となります。

まとめ

住宅取得等資金については、金額も多額となることから税額計算に与えるインパクトは非常に大きなものとなります。適用要件を確認するとともに、将来の相続税の影響などを慎重に検討(特に相続時精算課税の選択の特例)してから適用の可否をご判断ください。

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羽藤徹夫
羽藤徹夫
税理士法人 大石会計事務所所属。 高校卒業後は主にガテン系の肉体労働に従事。体力の限界を感じ、税理士試験の勉強を開始。合格を機に税理士試験の受験専門学校へ転職。大原簿記専門学校で相続税法、法人税法の教鞭をとった経験を元に、相続税をやさしくわかりやすく解説。
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