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リーゼント先生のやさしい相続
第十三回「本当はどうなの!?住宅取得等資金贈与③」

前回まで「住宅取得等資金贈与の非課税特例」について2回(「第11回 家を建てるなら、住宅取得等資金贈与!?①」「第12回 家を建てるなら、住宅取得等資金贈与!?②」をご参照ください。)に分けて適用を受けるための要件などの整理をしてきました。

本稿では、住宅取得等資金贈与の適用を受ける際の留意点について、具体的に触れていきたいと考えています。

1.非課税限度(控除)枠が縮減される

制度導入初年度は、最大1,500万円の控除枠が現在(平成30年12月時点)は最大1,200万円と縮減されています。だからといって住宅の購入(適用)を急ぐ必要はありません。
年々縮減されるのは、そういったバーゲンセールの心理を狙っています。

非課税限度額は、消費税率10%が導入された場合には消費(需要)の落込みが予想されることから、これへの手当として最大3,000万円と規模が拡大されます・・・急ぐ必要はありません。

2.申告が欠かせない

この非課税制度は文字どおり「特例」となるので、この特例の適用を受けることで結果として贈与税額が生じなかったような場合でも贈与税の申告期限内(2月15日から3月15日までの期間内)に申告を行わなければなりません。

申告期限内に申告書の提出をしなかった場合は、適用を受けることができません。また、贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできないこととなります。よって、その贈与を受けた金額を課税価格に織り込んだ修正申告書の提出が必要となります。

3.相続対策も含めての検討が必要

贈与税のみならず将来の相続税も含めての節税を考えて、住宅取得等資金の非課税の適用を受けようとしているのであれば注意が必要です。

シンプルに考えて、住宅取得等資金の非課税は1,200万円もの金額を贈与税が課税されることなく子や孫に贈与をすることができる優れものの制度です・・・何が問題なのでしょうか??

それは、小規模宅地等の減額という相続税の計算上の特例制度の適用要件に答えがあります。

この制度によれば、一定の要件に該当する居住用の宅地等については80%の減額(控除)を受けることができます。

その一定の要件は、相続人等に自己の居住用家屋があると該当しないこととなってしまうのです。

住宅取得等資金により節税できる金額は1,200万円と限度がありますが、小規模宅地等の減額については一定の居住用宅地等の80%を減額することができるので仮にその宅地等が1億円のものであれば、8,000万円(1億円×80%=8,000万円)もの節税効果を得ることができることとなります。

まとめ

適用要件自体も複雑ですが、実際に適用を受ける場合には、相続も含めて周辺を検討してから適用を考えることをお薦めします。

ABOUT ME
羽藤徹夫
税理士法人 大石会計事務所所属。 高校卒業後は主にガテン系の肉体労働に従事。体力の限界を感じ、税理士試験の勉強を開始。合格を機に税理士試験の受験専門学校へ転職。大原簿記専門学校で相続税法、法人税法の教鞭をとった経験を元に、相続税をやさしくわかりやすく解説。
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