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岩松正記の数字・大事・いい感じ!
第二十五回「白色申告がもったいない理由とは?」

税務相談を受けていると、「ずっと白色申告です」という方が結構いらっしゃいます。今回は白色申告と、白色申告を止めて青色申告にした方がいい理由を紹介します

1.なぜ白色申告?

(1)実は帳簿の作成・保管義務がある

収益の計算だけで済ますことができる白色申告は、非常に簡便な確定申告の方法と言えます。売上を集計し、経費を集計したのち、収支表にそれらを記載して損益を出すだけで白色申告用の用紙はできてしまいます。また、実務上は開業届を出さなくても申告自体に支障をきたすことはありません。

ちまたを見渡せば青色申告を勧める声が多く、実際青色申告にはさまざまな特典があることはわかっているのですが、面倒で青色申告にしていない、という方がいます。青色申告にするには、届を出すのはもちろんのこと、「帳簿を作成しなければならない」という条件があります。
「白色申告の方が楽」ということでほとんどの方でここで断念してしまうのですが、実は白色申告も平成26年(2014)より帳簿を作成し、それを一定期間保管しなければならないことになりました。

従って、「白色申告だから帳簿を作らなくてもいい」という理屈はすでに通らなくなっていることに注意が必要です。

(2)いわば家計簿

白色申告は、収支をはっきりさせるのを第一としているので、家計簿をイメージするといいかもしれません。ただ、それだけだと入りと出をまとめるだけなので、そこから科目ごとに集計したもの、すなわち「帳簿」を作成するわけです。
帳簿を作成し、その最終残高を一つの表にまとめたのが貸借対照表となります。この一連の作業を自動でやってくれるのが会計ソフトなのですが、収支の集計を手作業でやってしまうと、恐らく、ほとんどの方は帳簿の作成もその先の作業もできないのではないかと思います。

すなわち、白色申告で済ませてしまう人のほとんどの原因は、手作業にあると言っても過言ではありません。

2.白色申告をしない理由

(1)会計ソフトの決算書でいい

白色申告をズルズルと続けている人の多くは、届出などの手続きが問題なのではなく、帳簿と貸借対照表を作らなければならないという点に拒否感を覚えている方が多いようです。帳簿を作ると言ってもどのようなものを作ったらいいのかわからない、ましてや貸借対照表なんて作れるわけがない。そのような感じです。

しかし、現在は会計ソフトで数字を集計するのが当たり前の時代であり、仕訳の入力をすれば収支の計算はもちろん、帳簿も貸借対照表も自動でできあがります。この場合、できあがった貸借対照表の出来不出来は問題ではありません。たとえば現金残高がマイナスになっていたとしても(当然に、現金残高がマイナスなどということはあり得ません)、仮に貸借対照表の左右の合計が合っていなかったとしても、それら間違った数字で作った貸借対照表で青色申告が行われた場合には、税務署は適正に申告されたと受け取ってくれます。

もちろん、数字がおかしい場合には後日税務署から連絡が行くでしょう。しかし、それで青色申告が取り消しになることはありません。要するに、青色申告については、まずは提出することが重要なのです。収支の計算は正しいものという前提ですが、会計ソフトで作った貸借対照表が少しおかしな数字であっても、10万円の青色申告特別控除は適用されます。大家業の場合は事業的規模にあればそれで65万円控除です。それなのに白色申告を続けるのは非常にもったいないことだと思います。

(2)実は怖い白色申告

しかしながら、実は我々税理士が強く青色申告を勧める大きな理由は、白色申告だと推計課税を受ける可能性があるから、です。

推計課税というのは、税務調査等があった場合、その人の外観などから収入を推計されて課税される、というものです。例えばこれくらいの物件を持っている場合には、同じ規模の人たちと比較してこれだけの利益が出ているはずだ、と税務署が試算し、それで最終的には税額が決定してしまうのです。

これは税務署の処置に不服があって裁判を起こしたとしても、納税者側は100%勝てません。特に大家業の場合は、収益を上げている同業と比較されてしまうことになりますから、推計課税は絶対に避けるべきものと言えるでしょう。

青色申告をしている場合には、数字がおかしいものであるという判断は税務署側がしなければならず、向こうの判断で勝手に数字を決められることはありません。

3.まとめ

白色申告であろうと青色申告であろうと帳簿を作成しなければならないのですから、自ら計算して申告をする必要のある場合はなるべく青色申告を選択した方がいいと思います。

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岩松正記
岩松正記
相談指名数東北・北海道地区1位になったこともある税理士。 山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員等10年間に転職4回と無職を経験後に開業。地方在住ながら東京から米国・東南アジアにまで顧客・人脈を持つことから、税務だけでなく様々な投資情報の提供も行っている。ロータリークラブ、青年会議所等で役員を歴任。 税理士会の役員に就く他、元査察の税理士に仕えていたため税の世界の裏事情にも詳しい
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