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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第八十八回】ファイナンシャル・プランナー
駒﨑 竜が斬る!①

『大家さんが活用できる借入れについて』

こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒﨑です。

今月の特集では、大家さんが活用できる借入れについて、
「アパートローン」・「リフォームローン」・「住宅ローン」・
「リバースモーゲージローン」の情報をご提供いたします。

1.アパートローン・不動産投資ローンの金利設定

賃貸経営の資金繰りを左右するアパートローン。
スルガ銀行の不正融資が世間の印象として残りましたが、元々の発端は
シェアハウス「かぼちゃの馬車」を販売していた(株)スマートデイズの倒産でした。
『銀行が融資をする物件なんだから賃貸経営が上手くいく』ではないことが、
「かぼちゃの馬車」で証明されたと思います。
また、スルガ銀行の適用金利が高いと嘆いている投資家もいらっしゃいますが、
不動産投資ローン(収益不動産の購入資金)がなぜ高金利で融資をしているのか、    その理由はご存知でしょうか?

1つ目の理由は、他行が融資を否認する賃貸事業の破綻リスクが
高い物件に融資をするからです。もう1つの理由は、金利を低く設定すると、
不動産会社が売買価格を吊り上げてしまう傾向があるためです。
例えば、満室想定家賃が年間500万円のアパートがあるとしましょう。

この物件の融資金利を2.5%で35年返済にする場合、
借入額10,500万円にすると年間支払い額が約450.4万円です。
金利3.5%の場合は、借入額9,000万円で年間支払い額が約446.3万円、
金利4.5%の場合は借入額8,000万円で年間支払い額が約454.3万円という       計算になります。

つまり、年間のキャッシュフローだけを見れば、
金利設定が低いほど物件価格を高額にして販売できることになります。
高額で購入してしまうと、売却するときやアパートローンを借換えするときに
大変不利になりますので、なるべく適正価格で売買されることを金融機関は
検証し、金利設定をしているのです。

2.借換えの現状

地主の方は、建物のみを借入れしていますので、都市銀行や地方銀行、
信用金庫やJAバンクなどに借換えの相談をしたり、現在利用中の金融機関に
金利引下げの交渉をすることをお勧めします。不動産投資家向けのローンは、
新規融資を停止している金融機関が数行ありますが、借換えのみを対応している
金融機関はまだまだあります。ただし、ホームページでは掲載されていない
ケースがありますので、金融機関の店舗で直接聞いたり、
専門家に相談することをお勧めします。
以下の条件に当てはまる場合は、借換えを検討しやすいケースですので、
確認をしてみてください。

①.賃貸物件の立地が以下に当てはまる

東京都、神奈川県、埼玉県・千葉県(おおよそ国道16号の内側)、
大阪市、名古屋市、福岡市、仙台市(仙台駅から徒歩15分圏内)

②.残存期間20年以内

③.サラリーマン年収が1,000万円以上

④.既存の借入額合計が年収の7倍以内

皆さまの物件は当てはまりましたでしょうか?

アパートローンの返済額は、賃貸経営の資金繰りに大きな影響を与えますので、
経営改善を検討されている方は、金利の引下げ交渉や借換えを検討してみましょう。

なお、金利の上昇は、日本銀行が金融緩和を解除すると本格的に上昇し始めます。
金融緩和を解除したり、金融の引締めを発動する要因は、以下の例があります。

●企業の業績好調で賃金も上昇し景気が上昇
●物価が継続的に上昇し物の値段が高額になる
●円安が継続的に続き、輸入製品の価格が上昇する
●円建ての原油価格が継続的に上昇し、加工製品の原価が上昇する
●財政難で国債が大量発行され、日本銀行や金融機関も国債を売り越しする
●地価が暴落し、銀行保有債権が担保割れをおこす

経済や金融政策の動向にも敏感になり、経営判断の1つにしてみてください。

 

ABOUT ME
駒﨑竜
エターナルファイナンシャルグループ株式会社。代表取締役 ファイナンシャルプランナー。 中古車販売会社の取締役時代に資金調達・会計・税務など年商50億円の会社経営に携わった後、大手アパート専業デベロッパーにて土地活用の経験を積み2007年に起業。FP個別相談数は1,500世帯。損保・ローン19年、生保15年、投資家経験13年、融資5年、証券・海外投資3年のキャリア。
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