不動産鑑定士が贈る“ご近所アルアル!” ~其の1 土地境界編~
不動産鑑定士・一級建築士の田口です。
今年も残すところ僅かになってきましたね。
ところで皆さん、ご近所づきあい、きちんとされていらっしゃいますか??
最近ストレス社会だからなのか、個人主義の時代だからなのか、 多いですね、対人トラブル。
東名高速のトラブルのニュースを見て、ドライブレコーダーを購入する人が 増えているそうです。
人と人との関係があっての社会なわけですが、まずは自分の権利主張、
という傾向が強まっているように思います。
不動産でも、昔から多いのが近隣トラブル。対人トラブルの典型的な
ものの一つといっていいかもしれません。最近ではゴミ問題とか、
ひどい事例としてはバーベキューしている最中に不幸な事件が発生するようなことも 実際に起きています。
近隣トラブルも決して他人ごとではありません。
自分のことだと思って日々対策を!
そんなことで、もう一度お聞きしますが、
皆さん、ご近所づきあい、きちんとされていらっしゃいますか??
「ああ、もちろんだよ、そんなの当たり前だよ」
ありがとうございます。
大家さんの皆さんであれば、賃貸物件もご近所さんがいらっしゃいますよね?
お持ちの物件についても、それぞれご近所づきあい、 大丈夫でしょうか?
「ん?そこまで考えてなかったな」
「自分が住んでいるわけじゃないからわからねえよ」
「管理会社がちゃんと清掃とかしているから大丈夫じゃね?」
なんて声も聞こえてきそうです。
賃貸物件ですと、特に人任せにしやすいですよね。
こんなことがありました。
土地取引に関わらせて頂く際に、測量を手配したら、測量事務所さんにこんなことを言われたんです。
「いやあー測量よりハンコ取りが大変ですよ~、日中いないので、 夜討ち朝駆けですよ(笑)」
(測量事務所さん)
「お隣の●●さん、相続になっているみたいで、今回の境界承諾の相手が“誰”なのか、 はっきりしないんですよねえ・・・」
「挨拶回りしたら、『毎年毎年、これまで私がお隣から飛んできた落ち葉を掃除して きたんですよ!!角が立つから今まで言わなかったけど!!』なんて、 隣地の奥さんに言われてしまいましたよ。」
「失礼な言い方ですけど、こちらのオーナーさん、お隣さんとはうまくいって なかったんですか??それならそうと早く言って下さいよ!!」etc・・・
これまでのお隣さんとのお付き合いやトラブルが、測量・境界立会の時に 噴出してしまうんですね。
普段のご近所づきあいが、境界承諾に大きな影響を及ぼしてしまうということですね。
過去、隣地とのトラブルを抱えた土地というのは、まとまる話もまとまらない。
売却しようにも苦労してしまう。 今の時代、ご近所づきあいなんて時代遅れでしょ、なんて言わずに、
是非気をつかってお付き合いをして下さいね。
何故なら土地売却には、小規模な個人間取引(現況売買の場合あり)は別としても、
「確定実測」が資金決済の前提となることが普通。
「確定実測」の意味するところは、隣地所有者の承諾印が必要だということ。
この「隣地」には国・都道府県・市町村も含まれますよ。
道路境界がしっかりと定まっていない場合には、
現地に杭があっても安心できません。杭の位置は大丈夫ですか?
杭が無くなっていたりしませんか?
道路境界の確定や杭の復元には、自分自身の土地のみならず、
隣接地やお向かいの土地所有者までも巻き込んで、立会の同意が必要になる場合が あります。
自分と役所と、それにご近所さんが絡んできてしまうということです!
「俺はいいよ、別に売却しないし。」
そうですかね?
売却しなくたって、
【土地を分けたい→分筆したい】
この場合も確定実測が必要ですよ!
隣地所有者の境界承諾がないと法務局は受け付けてくれませんよ!
自分の土地なのに!
だからご自身の土地の資産価値を維持する為にも、
ご近所づきあいって重要なんだ、ってことがわかりますよね。
ですから皆さん、賃貸物件についてもちょっと普段から気にしてみて下さいね。
「俺は区分所有オーナーだから関係ねえよ」って??
確かにそうかもしれませんね。でもほんとにそうでしょうか。
そんな方は次回をお楽しみに!