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リーゼント先生のやさしい相続
第三十八回「2020年 税制改正」

今年も来年度の税制改正にかかる与党による税制改正大綱が公表される時期が近づいてきました。この時期になると五月雨的に情報が世に溢れてきますが、今年は消費税増税もあったせいか特に富裕層向けと言われる節税スキームを封じる内容が多いように感じられます。
今回は、令和2年度税制改正大綱に記載されることが予想される内容についてまとめます。

1. 海外に所在する中古建物に係る減価償却費について

不動産所得につき生じた損失については、原則として給与所得などの他の所得と損益通算をすることができることとされています。海外の建物は日本と異なり土地と建物の売買価格に占める建物の割合が非常に高く、中古建物について経過年数によっては耐用年数が最短で4年となることから家賃収入に比して多額の減価償却費を計上することが可能となっており、これによる損失を損益通算することで所得全体を圧縮する節税が可能となっていました。
今回報道された内容では、海外の中古建物から生じた損失はなかったものとし、損益通算できないようにする、とされています。
これについては、数年前から会計検査院が指摘をしていたところであり、いよいよ税制改正に反映されることとなる模様です。

2. 金取引による消費税還付について

今年国税庁から改正意見書があり上記の海外不動産と同様に改正される可能性が高まっていたものです。賃貸住宅の建築、購入に係る消費税の還付を受けるために金の売買を繰り返して課税売上高を調整することにより消費税の還付を受ける方法が広く世に知られ利用がされていました。
これについて、今回報道されている改正内容によると賃貸アパートの建築などに絡んだ控除をできなくする、とされています。

3. その他想定される改正内容について

上記以外に、法人税の連結納税制度について従来は親会社が子会社分も一括して申告する方式となっていましたが個別での申告へ切り替える、交際費の損金算入について大企業について適用できなくすることや、消費税の申告期限が一定の要件に該当する場合に延長できること等、報道がなされています。
与党の税制改正大綱が公表されたら、またこちらでまとめていきたいと考えています。

まとめ

・税制改正は、来年4月以降に施行されるものもあれば、遡及して施行されるものもあり実際に法案が公表されないと分からないことも多いです。
・今回は、報道や各種情報から分かる範囲内をまとめました。
・詳細は次回以降をお待ちください。

ABOUT ME
羽藤徹夫
税理士法人 大石会計事務所所属。 高校卒業後は主にガテン系の肉体労働に従事。体力の限界を感じ、税理士試験の勉強を開始。合格を機に税理士試験の受験専門学校へ転職。大原簿記専門学校で相続税法、法人税法の教鞭をとった経験を元に、相続税をやさしくわかりやすく解説。
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