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リーゼント先生のやさしい相続
第三十九回「2020年(令和2年度)の税制改正について①」

12月12日に与党より令和2年度の税制改正大綱が公表されました。当初、噂されていた退職所得の改正などは織り込まれませんでしたが、予定どおり海外不動産の利用による節税や金取引を利用した消費税還付などを封じる改正が行われる見通しで不動産オーナー、大家さんにとっては厳しい内容となっています。
今回は、そのうち国外中古建物(海外不動産)にかかる改正内容についてまとめます。

1. 国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例について

⑴ 内容
個人が、国外中古建物を賃貸することにより生ずる不動産所得を有する場合において、その年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の減価償却費に相当する部分の金額は、生じなかったものとみなす。

⑵ 国外中古建物
上記⑴の「国外中古建物」とは、個人において使用され、又は法人において事業の用に供された国外にある建物で、個人が取得をしてこれをその個人の不動産所得を生ずべき業務の用に供したもののうち、不動産所得の金額の計算上その建物の減価償却費として必要経費に算入する金額を計算する際の耐用年数を「簡便法」又は一定の書類の添付がない「見積法」により算定しているものをいう。
※ 簡便法による耐用年数

イ 法定耐用年数の全部を経過した資産
法定耐用年数 × 20% = 簡便法による耐用年数

ロ 法定耐用年数の一部を経過した資産
(法定耐用年数 - 経過年数)+ 経過年数 × 20% = 簡便法による耐用年数

⑶ 譲渡所得の金額の計算
上記⑴の改正内容の適用を受けた国外中古建物を譲渡した場合には、その譲渡所得の金額の計算上、損益通算の対象外とされた償却費相当額については、取得費として譲渡益から控除することができることとされています。

⑷ 適用時期
令和3年(2021年)以後の各年

2. 留意点

今回の改正によるその他留意点としては、以下の様な点が挙げられます。

・令和3年以後の各年においてこの損益通算等の特例の改正内容が適用されることから、令和2年以前に取得した国外中古建物についても改正内容が適用されることとなります。

・簡便法ではなく見積法による見積耐用年数を採用した場合においても、その耐用年数が適切であることを証する一定の書類の添付が必要となります(ない場合は改正内容が適用されることとなります。)。
なお、国外中古建物の所在地国における法令による耐用年数としている場合には、見積耐用年数として適切であることとされるようです(今般の改正の対象外となるようです。)。

まとめ

国外中古建物に係る損失のうち、簡便法により計算された減価償却費により生じる損失はなかったものとみなされるため、その損失を利用して給与所得や事業所得と損益通算を行うことができなくなります

適用時期は令和3年以後の各年についてですが、それ以前に取得した物件であってもこの改正の対象となります。

・次回以降も引き続き改正内容をまとめていきます。

ABOUT ME
羽藤徹夫
税理士法人 大石会計事務所所属。 高校卒業後は主にガテン系の肉体労働に従事。体力の限界を感じ、税理士試験の勉強を開始。合格を機に税理士試験の受験専門学校へ転職。大原簿記専門学校で相続税法、法人税法の教鞭をとった経験を元に、相続税をやさしくわかりやすく解説。
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