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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第七十一回】
不動産鑑定士×一級建築士 田口 陽一が斬る!④

~公的評価の罠~

こんにちは!
一級建築士・不動産鑑定士の田口です。
皆さん、占いって信じますか?

ご所有の不動産の将来を占っていますか??

今週は『公的評価の罠』について考えてみたいと思います。

地価公示、都道府県地価調査、路線価、固定資産税評価額など、
こういった土地価格のことを公的評価と呼んだりします。
最近発表された地価公示によれば、都心部を中心に地価は上昇傾向だったようです。
(ほんとにざっくりですが!)

皆さんはどのような印象でしたか?
ご所有物件も価値が上昇してよかった!
売ろうかな!
あれ、固都税も上がるのかな?・・・等々
様々かと思います。

ただ一点、冷静に考えてくださいね。
私たちが本来最も気にするべきは、将来の不動産価値であり収益性であるということ。
過去ではなく、将来です。

公的評価は、発表された時点で既に過去のデータであるという認識を改めて持ちましょう。
過去を一生懸命みて一喜一憂しても、本質的には意味がありません。

未来を見通すために、過去を参考にしているに過ぎないからです。

もちろん、有力な情報だと私も思います。

しかし過去を見てそれで満足しては、過去を見る意味がありません。
あくまで将来に向けた視座で、公的評価をご覧になり、未来を占ってみて下さい。

これもまた、変動の激しい時代においては、絶対はありません。
正解は未来にならないとわからない。
でもそれが不動産の魅力、魔力でもあるのかもしれませんね。

そしてもう一点。
冒頭で占いなんて申し上げましたが、不動産の将来の占いに欠かせないもの。
金融情勢ですよね!

改めて利回りのインパクトを考えましょう。
いまエクセルでざざっと計算してみました。
仮に賃料CFを分かりやすく100万円として、これに対応する元本(不動産価格)の時価のブレを考えましょう。

すなわち、仮に今4%で取引されている物件が5%でないと売れない時代になった    としたら、

1%のインパクト・・・
たかが1%。
ですね。

でも、価格へのインパクトは大きい!                        巨大だ!

<試算結果>

年間賃料1,000,000円 利回り4.0% 時価25,000,000円
年間賃料1,000,000円 利回り5.0% 時価20,000,000円
時価インパクト▲5,000,000円
なんと20%も下落しました。
でも、0.1%くらいだったら大したことないよね?誤差だよね?
いえ、0.1%のインパクトでも・・・
??
大きい?

<試算結果>

年間賃料1,000,000円 利回り4.0% 時価25,000,000円
年間賃料1,000,000円 利回り4.1% 時価24,390,244円
時価インパクト▲609,756円
2%以上下落しました。

利回りってそんなに急に変わるのかよ?って?
そんなにおおげさな!
ですって?

そんなときは、
過去の金利情勢や、過去の不動産の取引利回りのトレンドも見てみて下さいね。

なお、利回り変動による価格への影響については、
低利回り環境における変動(例えば3%から4%への1%の変動)の
方が、高利回り環境における変動(例えば10%から11%への1%の変動)よりも、  断然大きなインパクトがあるという点についても確認しておくとよいです。

同じ1%でも、価格インパクトは違ってくるということです。
ご自身で試算されるとよくわかるはずです。
将来の占いの為に、過去を参考にしてみる、という基本的な発想を忘れずに、
日々研鑽したいものです。

ABOUT ME
田口陽一
明治大学理工学部建築学科卒業。一級建築士、不動産鑑定士、宅地建 物取引士、マンション管理士。東京建物株式会社にて、不動産鑑定評 価、都市再開発、オフィスビル売買・運営、SPCスキームを活用した 不動産事業等、理論・実務の両面から不動産業務を経験し実績を残す。 不動産ソリューションは、実践的経験が何より重要であるばかりでな く、建築・税・法務・金融・理論的評価・現実の売買等々、複合的領 域にわたることから、常に複眼思考でベストな解決策を構築している。 鑑定評価や売買のみならず、バランス重視のハイブリッドなアドバイ ザリーを得意とする。
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