『法人契約における生命保険』
こんにちは。ファイナンシャル・プランナーの駒崎です。
『法人契約における生命保険2019年改正』について、4週目の情報提供をいたします。
1.生前給付型終身保険
生前給付型終身保険は、個人でも法人でも契約できる生命保険です。
保障内容は、死亡保障に加え、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)
での所定の状態、高度障害状態または特定障害状態(身体障害者手帳3級以上)、
公的介護保険制度で「要介護2以上」と認定されたときなど、
いずれかの保険金を受け取ることができますので、
就業不能になり得るリスクにも幅広く備えることができます。
この生前給付型終身保険は、保険期間が終身で解約返戻金があるタイプのため、
以前は資産計上とする契約でしたが、
契約日が2019年7月8日以降の契約から第三分野保険に分類されたため、
定期保険等と同様の経理処理が可能となりました。
【A社:生前給付型終身保険】
保険期間:終身
保険金額:1,000万円
被保険者年齢:55歳
年払保険料:557,390円
最高解約返戻率:60.01%
返戻率ピーク時の払済保険金:379.9万円
この場合、保険期間の最初の40/100相当期間を経過する日まで、
6/10損金参入となります。また、保険期間が終身の第三分野保険は、
計算上の保険期間を116歳までとします。
被保険者年齢65歳の場合は、
年払保険料913,850円、最高解約返戻率47.38%となり、
保険料の全額が損金参入となります。
生前給付型終身保険は、
死亡保障と医療保障・介護保障等が一体となった終身保険で、
死亡保険金額と第三分野保障(医療保障等)に対する保険金額が
同水準であるため、第三分野保険としての経理処理となります。
そのため、幅広い保障内容があっても、保険金額のそれぞれが
同水準ではない終身保険は第三分野保険には分類されず、資産計上となります。
現役時代は事業保障として持ち、引退時に保険料の払込みを停止し(払済保険)
個人名義へ変更することで退職金代わりに渡すこともできます。
払済保険にした場合、主契約のみの保障が残ります。
終身保険の場合、死亡保険金のみが残るイメージがありますが、
生前給付型終身保険の場合は、医療保障や介護保障等も主契約と一体となっていますので、
払済保険にして個人名義に変更した場合でも、
幅広い保障を一生涯持つことができます。
また、生前給付型終身保険は、同種類の払込保険に変更するため、
特約が付加されていなければ、洗い替え処理は不要となります。
払済保険金をシミュレーションしてみましょう。
例えばA社で、55歳で契約した生前給付型終身保険の場合、
解約返戻率ピーク時は10年後(65歳)となり、
その時の払済保険金は379.9万円となります。
65歳で契約した場合の解約返戻率ピーク時は8年後(73歳)となり、
その時の払済保険金は374.6万円となります。
幅広い保障を法人契約で備える方法も検討されてみてはいかがでしょうか。
4週にわたり、法人契約における生命保険2019年改正版をお伝えしましたが、
何となくのイメージはできましたでしょうか?
契約時期や解約返戻率によって経理処理が異なることから、
今後の生命保険の管理は、大変で複雑になろうかと思います。
外貨建て保険や変額保険の場合は、契約時の為替レートや予定利率がわかりませんと、
正しい経理処理もできないことから、保険証券だけでなく、
契約時の設計書も大切に保管し、加入中の生命保険をリスト化するなど、
管理にも工夫が必要になります。
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