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【第122回】弁護士 関 義之が斬る!     「弁護士が語る 民事執行法の改正について」その3

●第三者からの情報取得手続の新設

こんにちは。弁護士の関です。

今回は、財産状況の調査の手続のうち、
第三者からの情報取得手続について解説します。

改正前の民事執行法では、債務者の財産状況を調査する手続としては
財産開示手続しか用意されていませんでした。
改正によりこの財産開示手続が強化されたことは前回の解説のとおりです。

ただ、財産開示手続は、あくまで債務者に任意に情報を開示させる手続です。
懲役刑を含む厳罰化が図られたとはいえ、強制的に開示させることはできません。

そこで、今回の民事執行法の改正では、財産状況の調査の手続として、
新たに、債務者以外の第三者から情報を取得する手続が新設されました。
これまで、弁護士であれば、弁護士法に基づく弁護士会照会という
制度を利用して、一部、第三者から情報を取得することができましたが、
個人情報の壁があり、開示を受けられない場合もありました。
民事執行法により第三者からの情報取得が制度化されたことは画期的といえます。

ただし、あらゆる情報が取得できるわけではなく、
また利用するための要件もありますのでご注意ください。

今回の改正で取得できるようになったのは、
①不動産に係る情報
②給与債権に係る情報
③預貯金債権等に係る情報
の3種類となります。

今回は、③について説明します。

なお、東京地方裁判所における申立手続については、
「民事第21部(民事執行センター・インフォメーション21)」の
「第三者からの情報取得手続を利用する方へ」というページに
詳しく記載されていますので、ご興味ある方はご参照ください。

https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section21/dai3shajyouhoushutoku/index.html

●③預貯金債権等に係る情報の取得手続

まず、銀行等の金融機関に対して、債務者の預貯金に関する情報の開示を
求めることができるようになりました。
銀行等とは、銀行、信用金庫、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・
郵便局ネットワーク支援機構等になります。

債務者の預貯金債権(預貯金口座)に対して強制執行の申立てをするには、
実務上、金融機関の取扱店舗(支店)を具体的に特定しなければならないことになっています。
大家さんが賃借人の預貯金口座のある金融機関とその支店名を知っていれば
強制執行可能となりますが、そうでなければ諦めるか、空振り覚悟で、
債務者の住所地や勤務先の近くの金融機関の支店を当てずっぽうで書いて
申立てをする場合もありますが、現実は厳しく、空振りになることの方が多いと思います。
しかし、この情報取得手続を利用すれば、預貯金債権があるかないか、
ある場合にはその取扱店舗、預貯金債権の種別、
口座番号及び額まで調べることができ、強制執行の可能性が高まります。

また、預貯金だけではなく、振替機関等に対して、
債務者の振替社債等に関する情報の開示も求めることができます。
振替機関等とは、振替機関と口座管理機関のことですが、
具体的には、前者は株式会社証券保管振替機構と日本銀行、
後者は、銀行や証券会社等になります。
開示を受ける振替社債等には、上場株式、投資信託の受益権、
社債、国債、地方債などが含まれます。
そしてこの情報取得手続を利用すると、振替社債等があるかないか、
ある場合にはその銘柄、額又は数を調べることができます。

③預貯金債権等に係る情報の取得手続については、
次回に説明する①不動産に係る情報や②給与債権に係る情報とは異なり、
先行して財産開示手続を行う必要がありませんので、
迅速に、情報を取得することができます。

預貯金口座の差し押さえは、手続も容易であり、
よく利用する強制執行手続です。
その実効性を高める③預貯金債権等に係る情報の取得手続についても、
大家さんとして押さえておきたいですね。

 

ABOUT ME
関 義之
関 義之
関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士・中小企業診断士 平成10年3月に早稲田大学を卒業し、その年の10月に司法試験に合格。平成12年10月から弁護士登録。中小企業の総合支援を目標に掲げ、平成23年10月から中小企業診断士にも登録。法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、契約書の作成・チェック等、紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。
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