大家さんが立ち向かうコロナ禍の賃貸経営
皆さんこんにちは。今月は二代目大家の小宮 哲朗より
「大家さんが立ち向かうコロナ禍の賃貸経営」と題して、
4回に分けてお送りいたします。
第3回目は「コロナ禍のニーズに応える ~入居者募集編~」です。
◆コロナ禍で賃貸住宅の客付け(リーシング)は苦戦傾向
新型コロナウイルスの影響を大きく受けている業種として飲食・サービス、
観光産業などが代表的ですが、最近は不動産業界にもその影響が現れ始めています。
特に大家さんが関わる賃貸管理業界では、
入居者の客付け(リーシング)に影響が出始めています。
特にワンルーム、1Kなどの単身者向けのアパートやマンションの客付けでは、
管理会社、仲介会社共に非常に苦戦している状況となっています。
例えば一人暮らしの大学生ですと、コロナ禍でオンライン授業が続いている大学が多く、
家賃を払うのがもったいないとして実家に戻って授業を受けるケースが増えています。
また社会人でもコロナ禍の直撃を受けた業種の社員は、
給与の減額で家賃負担が厳しくなるケースや、
最悪会社が倒産してしまい実家に戻るケースもあるようです。
しかしこのような厳しい状況下においても、
大家さんは空室対策を行い、満室経営を目指して日々行動しつづけなければなりません。
今回は改めて基本に立ち返る意味も込めて、
入居者募集に際して是非取り組んでいただきたいことをご紹介します。
1.基本的な空室対策ができているか、改めて確認する
まず始めに、基本的な空室対策ができているか、改めて確認しましょう。
これはコロナ禍に関係なく、
賃貸経営の空室対策の基本をもう一度見直してみるということです。
具体的には下記の通りです。
・エアコン、給湯器、キッチンなどの設備が壊れている、
または老朽化しているのであれば交換する
・インターネット環境の整備(無料or 高速)、宅配ボックスの設置、
TVモニター付きインターホンの設置
・エアコン、排水管、換気扇などの汚れが溜まっていないか確認し清掃、
清潔な状態にする
2.居室内または建物の共用部に除菌対策を実施する
コロナ禍で除菌に対する意識が高まっている今だからこそ、
除菌対策を少し工夫するだけで、コストをかけず所有物件に付加価値をもたらすことができます。
最近は企業、店舗、公共施設を問わず、
どこへ行ってもアルコール除菌スプレーやハンドジェルが設置されています。
それが当たり前になりすぎて、訪問した先に除菌スプレーが設置されていないことで
不安を感じる方もいらっしゃいます。
1棟アパート、マンションであれば建物のエントランスに、区分マンションであれば玄関先に、除菌スプレーを設置しましょう。入居者や来訪者の受け取る印象が大きく異なります。
他にも「除菌対策をしていることを掲示する」ことや、
「入居時および更新時に除菌グッズをプレゼントする」といったことも入居者に好印象を与え、長期入居につながる一助となるでしょう。
3.適切な家賃で募集する
こちらは「当たり前だよ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
改めてご自身の物件が相場と比較して適正な家賃で募集されているか、
今一度確認しましょう。特に長期入居者が退去した後の募集においては、
前者の家賃が数年前の相場のまま更新されてきたケースも多いため、注意が必要です。
そもそも適正な家賃で募集されているという前提がないと、
物件の空室がなかなか埋まらない時に本当の原因が掴めなくなってしまいます。
スーモ、ホームズなどのポータルサイトで調べたり、
付き合いのある仲介会社にヒアリングを行うなどして、
最新の家賃相場を把握するようにしましょう。
また一つ注意していただきたいのは、「家賃は安易に値下げしない」ということです。
確かに家賃を値下げすれば空室が早く埋まる可能性は高まるでしょう。
しかし家賃を値下げするということは、
ご自身の所有する物件の価値を下げる行為でもありますので、
慎重な判断が必要です。大家さんによって賃貸経営の状況も考え方も異なりますし、
それぞれの考えを尊重すべきなので、「値下げしてはいけない」とは言いません。
同じエリアのライバル物件と比較して若干の値下げであればよいのでしょう。
他の空室対策をやり尽くして、それでも空室が埋まる見込みがない状況であれば、
家賃の値下げを検討すべきではないでしょうか。
4.できるだけ多くの媒体(ポータルサイト)へ掲載する
こちらは言うまでもなく、できるだけ多くの入居者候補の目に触れやすいようにすることが重要です。
ただし仲介会社も各媒体へ掲載するためには料金がかかりますし、
掲載枠の関係もありますので、1~3の取り組みの中でいかに魅力のある物件に仕上げていくか、仲介会社に掲載したいと思わせる物件にしていくかが重要となります。
5.初期費用を安くする
優先順位ですと、まず礼金ゼロ、敷金ゼロ、フリーレントの順です。
ただし敷金ゼロにする場合は、退去時のクリーニング代を相殺する原資がなくなりますので、契約時に固定のクリーニング代を徴収しておく等の特約をつけておくのが有効です。
また入居者の初期費用ではありませんが、仲介会社に支払う広告料(AD)を増額するのも有効です。
これは礼金ゼロ、敷金ゼロと同列の優先順位と考えます。
フリーレントはこれ自体が客付けに対して大きな効果を生むかどうかという点ではあまり高くないため、優先順位としては最後にしています。
6.入居特典をつける
入居時または更新時に入居者にちょっとしたプレゼントを渡している大家さんは結構いらっしゃいます。
これはより長期入居してもらうために寄り添った素晴らしい取り組みですので、
是非検討してみてください。
2項で述べましたが、コロナ禍だからこそ、
入居時または更新時に日常生活に役立つ除菌グッズをプレゼントするのも一つのアイデアです。
例えばマスク、除菌スプレー、除菌シート、ハンドジェルなど、
複数組み合わせてプレゼントするのもよいでしょう。
こういうちょっとした気遣いが入居者の方に喜ばれ好印象となり、長期入居につながります。
いかがでしたでしょうか。
コロナ禍の状況自体をコントロールすることは不可能なので、やるべきことを愚直にやりながら、日々改善ししていくしかありません。厳しい状況がまだまだ続きますが、
体調に気をつけながらより良い賃貸経営のために頑張ってまいりましょう!
今回は以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。