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【第402回】弁護士 関 義之が斬る!     「株式会社の定款の見直しについて」 その1

●「株式会社の定款の見直しについて」

こんにちは。弁護士の関です。

今月は「株式会社の定款の見直しについて」を書いていきます。

●定款とは

会社を設立するには定款の作成が必要です。
大家さんも、会社を経営している場合には、
定款を保管しているものと思います。
定款は、会社の根本規範を定めるものであり、
定款に定めた目的の範囲内でしか権利能力を持たず、
また、取締役はこの定款に従って職務を遂行する
忠実義務や善管注意義務を負います。
また、会社法の制定により定款自治が拡大し、
定款に定めることにより、
それぞれの会社の実情にあった様々な仕組みを
選択することができます。
定款は、会社において最も重要な規定といえます。

●定款の作成

このように定款は重要な規定でありながら、
会社設立時に、深く考えずに、
司法書士にその作成を丸投げしてはいませんか。
また、日本公証人連合会のウエブサイトでは、
定款作成支援ツールをダウンロードでき、
また、定款の記載例も掲載されているため、
これらを利用して自分で作成し、
必要最低限の内容の定款で済ませている方もいませんか。
日本公証人連合会
「定款作成支援ツール」https://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/startup.html
「定款等記載例」https://www.koshonin.gr.jp/format

もちろん、最低限の内容であってもよいとは思いますが、
定款の基本的な考え方について理解しておくと、
より相応しい定款にすることができるかもしれません。

●定款の変更

筆者は、会社設立時ではなく、
事業承継の場面で、
既に作成済みの定款を変更するお手伝いをしています。
その際によく見かけるのが、
株券が紛失しているにもかかわらず
株券発行会社のままで支障が生じていたり、
取締役会設置会社(取締役が最低3人必要)であり
人数合わせのために経営に全く関与していない人に
取締役に就任してもらっていたり、
会社の登記と原始定款の内容が
異なり定款変更をしたことがあるはずなのに
株主総会の議事録が見当たらず、
最新の内容が不明であるなどのケースです。
そもそも旧商法時代に作成された
古い原始定款のまま金庫に保管されているケースも多く、
この場合には、現在の会社法のルールとは
全く異なる内容であるため、
事業承継の場面で、全体的に定款を
見直すことをお勧めしています。

今回の特集は目新しい内容でありませんが、
定款の基本的な考え方について整理しますので、
定款の見直しのきっかけにしていただければと思います。
なお、最近は、株式会社ではなく、
合同会社を設立する方も増えていますが、
今回は、「株式会社」に対象を絞って説明いたします。

ABOUT ME
関 義之
「関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士」 平成10年 3月に早稲田大学法学部を卒業し、 その年の10月に司法試験に合格。 1年半の司法修習を経て、平成12年10月から弁護士登録。 平成23年10月から中小企業診断士にも登録。 法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、 代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、 契約書の作成・チェック等、 紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。 不動産の賃貸・売買や、 遺言・遺産分割・遺留分など相続に関する相談を、 幅広く受けている。 特に力を入れている分野は、中小企業の事業承継支援。 セミナー経験多数。 詳しくはWebサイト参照  https://seki-partners.com/
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