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不動産を購入。相続税に有利なのは、法人所有?個人所有?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第174回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q 賃貸不動産を法人で購入しようと思っています。
法人の株式に対して相続税がかかるのでしょうか?
その場合、どのように評価するのでしょうか?

A
1.同族法人の株価評価の方法
株式は相続財産となり、相続税の課税対象になります。
株式は上場株式以外のものでも、対象になります。
上場会社以外の会社(例えば、同族法人)は、非上場会社といいます。
非上場会社の株式(合同会社の場合は、出資金)の評価は、
「純資産価額」と、「類似業種比準価額」をミックスして、
算出することになっています。

「純資産価額」とは、会社が保有する資産と負債から財産額を評価する方法です。
「類似業種比準価額」とは、類似する業種の上場株式の株価を、
『配当』・『利益』・『純資産』の観点から比較して、
価格を修正して自社の株価を算定する方法です。

一般的には類似業種比準価額が低くなることが多いため、
純資産価額とミックスされることで評価は大きく下がります。

ミックスされる割合は会社の規模によって異なります。
規模が大きいほど、類似業種比準価額の割合が高くなります。
小会社の場合には、類似業種比準価額の割合が50%です。

一般的に、評価が低くなる類似業種比価額が使えることで、
個人で不動産を所有するよりも、法人で所有する方が、
相続税評価が低くなる可能性があるのです。

2. 法人の株価評価の注意点
法人の株価の場合には、次の注意点があります。

(1)相続前3年以内に取得した不動産
同族会社が不動産を取得してから3年以内に相続が発生した場合、
その不動産の評価は「通常の取引価格に相当する金額」で評価されます。
土地であれば「路線価」、建物であれば「固定資産税評価額」が使えず、
相続税評価額の引き下げ効果が得られません。
したがって、不動産取得後すぐに相続が発生する可能性がある場合は、
個人で所有した方がよいことがあります。

(2) 小規模宅地の減額
個人で賃貸不動産を所有している場合には、小規模宅地の減額の適用があります。
これは土地の評価を200㎡まで50%減額が受けられる特例です。
一方、法人で賃貸不動産を所有している場合には、小規模宅地の減額の適用がありません。

3.まとめ
不動産オーナーが同族会社の株式を通じて不動産を所有することは、
相続税評価額を抑える有効な方法の一つです。
しかし、取得後3年以内の相続などデメリットがあります。

個人で所有するべきか、法人で所有するべきかを個々の事情に合わせて検討することがよいでしょう。

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ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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