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【第十四回】弁護士 関 義之が斬る!②

賃料不払いによる解除について ②

こんにちは。弁護士の関です。
今回のコラムでは、数回にわたり『賃料不払いによる解除について』の判例をお送りいたします。

賃料不払いによる解除についての判例 その2

●信頼係不破壊判例

前回、裁判所では、賃借人に賃料不払いがあったとしても、信頼係が破壊されていない場合には、賃貸借契約解除は認められないと判断することをご紹介しました。

それは、次ような最高裁判決(昭和39年7月28日)が前提になっています。

事案は、賃貸人が賃借人に対し、昭和34年1月分から同年8月分まで月額1200円合計9600円賃料不払いがあるとして、催告及び停止条件付解除(いついつまでに払わなければ解除すると、条件を付した解こと)をしたもです。

判示によれば、

・催告当時、1月分から4月分まで賃料合計4800円はすでに適法な弁済供託がなされていて、延滞賃料は5月分から8月分までみであったこと、
・本件家屋地代家賃統制令による賃料額は月額750円程度であり、従って延滞賃料額は合計3000円程度にすぎなかったこと、
・賃借人は昭和16年3月に賃貸人先代から本件家屋を賃借して以来居住しているもで、催告に至るまで前記延滞額を除いて賃料延滞実がなかったこと、
・昭和25年台風で本件家屋が破損した際、賃借人修繕要求にもかかわらず賃貸人側で修繕をしなかったで、昭和29年頃2万9000円を支出して屋根ふきかえをしたが、右修繕費について本訴が提起されるまで償還を求めなかったこと、など事情を認定した上で、

「右事実係に照らせば、同被上告人(注:賃借人こと)にはいまだ本件賃貸借基調である相互信頼係を破壊するに至る程度不誠意があると断定することはできないとして、上告人(注:賃貸人こと)件解除権行使を信義則に反し許されないと判断しているであつて、右判断は正当として是認するに足りる。」

と結論付けました。

 

●信頼係不破壊判断要素

最高裁判決から、信頼係が破壊されていないといえる特段事情があれば解除が制限されるという結論自体は理解できると思いますが、難しいは、ような場合であれば、信頼係が破壊されていないとされる特事情に当たるかどうか判断(あてはめ)です。

賃料不払いが何か月分あるか、というは重要な判断要素になりますが、裁判例をみると、例えば、同じ3か月分未払いでも、解除が認められるももあれば、解除が認められないももあります。
つまり、単純に賃料不払いが何か月分かだけでは決まらないということです。

ほかには、契約締結時事情、不払いに至った経緯、過去賃料支払い状況、
催告後・解除後賃借人対応等も考慮され、総合的な判断がなされています。

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関 義之
関 義之
関&パートナーズ法律事務所 代表弁護士・中小企業診断士 平成10年3月に早稲田大学を卒業し、その年の10月に司法試験に合格。平成12年10月から弁護士登録。中小企業の総合支援を目標に掲げ、平成23年10月から中小企業診断士にも登録。法人・個人を問わず幅広く紛争に関する相談を受け、代理人として示談交渉や訴訟等に対応するほか、契約書の作成・チェック等、紛争が生じる前の予防法務にも力をいれている。
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