渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第164回
今回から相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q
3人の相続人の間で相続財産について揉めています。
分割がまとまっていなくても相続税の申告書を提出しなければいけないようですが、
それぞれの相続人ごとに申告書を提出してよいのでしょうか?
一つにまとめて申告しないといけないのでしょうか?
A
1. 共同での提出は義務ではない?
相続税法27条5項には、「相続人が2人以上いる場合には、
申告書を共同して提出することができる」と規定されています。
共同して提出【できる】ため、必ずしも共同で提出しなくてもよいということになります。
相続人ごとにそれぞれバラバラに提出することができます。
しかし、それぞれで提出する場合にも、
他の相続人の記載(取得金額や相続税額)が必要です。
相続税は、財産全体で計算して、
それぞれの取得割合で相続税を配分して算出するためです。
共同で提出しているのか、それぞれで提出しているかは、
押印されているかで判断されていました。
しかし、令和3年4月以降,税務関係書類の押印義務が原則として廃止されました。
相続税の申告書にも押印が廃止されたので、
共同か単独かの提出かの判断が申告書上でわからなくなる可能性があります。
そこで、相続人の名前を記載する欄に、
「参考」の欄が設けられました。
共同での提出をしない場合には、「参考」を○で囲むことによって、
その方が共同申告しない相続人であることを明示することになりました。
税務署は、「参考」を○で囲んだ相続人等の分は申告書と扱わないことになります。
2.バラバラに提出するデメリット
相続人ごとにバラバラに提出すると、財産内容が異なったり、
評価額が異なったりすることがあります。
財産内容が情報共有されていないと、このようなことが起こり得ます。
他の相続人の申告書を見せてもらえればよいのですが、
揉めているとそう簡単にはいきません。
提出された申告書の閲覧についても、
提出した人の許可がなければ勝手に見ることはできないのです。
内容が異なる申告書が提出されていることは、税務署は把握しています。
揉めているので仕方ないと考えてはいますが、
将来的に修正されないと納税漏れになります。
税務署から目をつけられて、調査の対象になりやすくなります。
無用な調査を避けるためにも、共同で提出できるのであれば、
それに越したことはないでしょう。
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