●「相続土地国庫帰属法について」
こんにちは。弁護士の関です。
今月は「「相続土地国庫帰属法について」
を書いていきます。
●令和3年民法等の改正、新法制定
これまでの特集で、
令和3年4月に成立した所有者不明土地の解消に向けた
民事基本法制の見直しについて説明しました。
おさらいになりますが、今回の改正は、
所有者不明土地問題を解消するために、
所有者不明土地の「発生の予防」と、
既に発生している所有者不明土地の
「利用の円滑化」の両面から、
総合的に民事基本法制の見直しを行うものとなり、
具体的には、大きく、次の3つに分かれています。
①.登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し(発生予防の観点)
②.土地を手放すための制度 (相続土地国庫帰属制度)の創設(発生予防の観点)
③.土地・建物等の利用に関する民法の規律の見直し(利用の円滑化の観点)
これまでの特集では、このうち①と③について説明しましたので、
今回は、②についてご説明します。
なお、全体的な説明については、
法務省の下記ウエブサイトをご参照ください。
「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し
(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
●相続放棄との違い
現行法上、相続財産を手放す制度としては、
相続放棄があります。
相続土地国庫帰属制度との大きな違いは、
相続放棄は被相続人の財産に属した権利義務を
一切承継しないこととすることにあります。
つまり、土地の所有権だけではなく、
建物や預金など一切の権利や、ローンなどの負債を全て承継しません。
これに対し、相続土地国庫帰属制度は、相続人が相続の承認をし、
一旦、被相続人の財産に属した権利義務を包括的に承継することを前提に、
そのうち、一定の要件を満たす土地の所有権のみを
国庫に帰属させる制度となります。
相続時の選択を誤らないように注意が必要です。