渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第185回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q個人の土地の上に、法人の建物を所有とし、
無償返還に関する届け出を提出しています。
法人の株価評価を計算するにあたって、
注意するべき点はありますか?
A
1.土地の無償返還に関する届け出とは?
「土地の無償返還に関する届け出」とは、
土地所有者(貸主)と借地人(借主)が、
将来的に借地人が土地を無償で返還する旨を契約書に明記し、税務署に届け出る制度です。
この届け出を行うことで、
借地権が発生したとみなされる場合でも、
税務上の借地権課税が回避される仕組みです。
この制度は、主に法人税法上の手続きとして設けられており、
貸主または借主のいずれかが法人であることが要件となっています。
個人間での取引ではこの届け出は適用されないため、注意が必要です。
2. 借地権の計上のルール
「土地の無償返還に関する届け出」を提出している場合には、
地代を発生させる(賃貸借契約)か地代を発生させない
(使用貸借)かを選択することができます。
それぞれの選択によって、土地(借地権)について、
法人の株価評価を行う際のルールが異なります。
(1)地代がない場合(使用貸借の場合)
《個人の財産》
土地の減額がない、つまり自用地評価として、
100%の評価が個人の相続財産に計上され、
相続税が課税されます。
《法人の財産》
法人は土地(借地権)を所有していませんので、
法人の株価には影響はありません。
(2)地代が発生している場合(賃貸借契約の場合)
《個人の財産》
土地について、
自用地評価額から20%を控除した貸宅地として
個人の相続財産に計上され、相続税が課税されます。
《法人の財産》
純資産価額の計算上、個人から控除された
20%相当額を借地権として資産に加算します。
株価評価が上がることになります。
このように「土地の無償返還に関する届け出」を
提出することで借地権の認定課税なく、
同族会社に土地を賃貸することができることから、
個人法人を通じて土地の評価は100%反映するような取り扱いをしています。
会社の帳簿に借地権が計上されていないものになるため、
株価計算では漏れやすくなります。
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