賃料と鑑定評価
こんにちは、不動産鑑定士・住宅診断士の皆川聡です。
今月4回分のコラムを担当させていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
今回は、賃料と鑑定評価についてお伝えさせていただきます。
昨今の経済状況を考慮に入れ、賃料が割安な物件については、
賃料の鑑定評価を活用して、賃料の値上げをし、
不動産経営のキャッシュフローが効率よくなるようにすることが重要です。
また、お客様の中には、賃料が割安な物件を低位な価格で購入して、
それから、賃料の値上げ交渉等により、賃料を上げてもらい、
その後しばらくしてから、
その不動産を高めに売却される方もいらっしゃいます。
ご自身で賃料値上げ交渉ができれば勿論よろしいのですが、
難しい場合には、鑑定評価をご活用されることがあります。
その前提として、「費用対効果」、
すなわち、「賃料の鑑定評価費用」対「賃料値上げ可能性等の効果」を
考えることが重要です。
一般的に、賃料の鑑定評価の方が、
価格算出の鑑定評価よりも高くなる傾向にあります。
その理由として、賃料の鑑定評価の手法は、
価格の鑑定評価に比べて、2~3倍の手数がかかります。
特に、現行の賃貸借契約の内容だけではなく、
契約締結時からこれまでのいろいろな賃貸借当事者間での
経緯等も含めた内容をしっかりと定性分析を行い、
その定性分析を前提にした定量化分析をする
(賃料という額に落とし込む)ということが求められるためです。
そのため、賃料の鑑定評価を行う場合には、
価格の鑑定評価よりも費用が多めにかかりますことをご留意ください。
ですので、賃料の鑑定評価を取ることによって、
効果が得られない場合は、却って、費用倒れになる可能性もあります。
賃料の鑑定評価をご依頼される際は、その費用対効果を、
しっかり見極めてからご依頼されることをお薦めいたします。
どれくらいの賃料になるのか?
費用対効果は見込めるか?
ということを判断できるように、
事前に低料金にて概算査定を、
弊社では行っています。
事前概算査定により、費用対効果が見込めそうであれば、
正式に案件着手に入れるという、2段構えで対応しています。
賃料の鑑定評価は、今までの賃貸借契約当事者間の関係が
強く作用するという難しい部分があります。
また、居住用の場合、賃料増額はなかなか難しく、
店舗や事務所で空室期間が長い時期や低位な賃料で締結されていたような場合には、
鑑定評価のご活用により、増額できる可能性も出てくるイメージが致します。
賃料の鑑定評価により、現行賃料に対し、適正に値上げを実現し、
不動産経営のキャッシュフローの効率化を促進させ、
将来の高い価格での売却等、出口戦略まで見据えた戦略なども
お考えていただけますと素晴らしいと思います。
今回も最後までお読みいただきまして、
誠にありがとうございました。
以上