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賃貸併用マンションの相続税評価。土地と建物はどう計算する?

渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第249回

相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。

Q父に相続が発生しました。
父は10階建のRCマンションを所有していました。
1階~9階までは賃貸して、
10階部分を自宅として利用しています。
この場合の相続税評価(土地と建物)はどのように計算するのでしょうか?

A
同じ建物の中に賃貸部分と自宅部分が混在している場合、
土地も建物も、
それぞれの用途に応じて区分して評価します。区分の方法は床面積按分です。

1.面積按分で用途ごとに区分する
本件は10階建で、1階~9階が賃貸、10階が自宅です。
各階の面積が同じであれば、
賃貸部分が90%、自宅部分が10%という割合になります。
この面積割合を使って、
土地の評価額も建物の評価額も、
賃貸部分と自宅部分に分けて計算するのです。

2.土地の評価方法
土地は「路線価方式」または「倍率方式」で、
まず自用地としての価額を算出します。
路線価が付されている地域は路線価方式、
付されていない地域は固定資産税評価額に
一定の倍率をかける倍率方式を使います。

次に、この自用地価額を面積割合で按分します。
自宅部分に対応する土地は「自用地」として評価し、
賃貸部分に対応する土地は「貸家建付地」として
評価減を行います。

貸家建付地の算式は次のとおりです。

貸家建付地の価額 = 自用地としての価額 −(自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合)

借地権割合は地域ごとに路線価図に表示されています。
借家権割合は全国一律30%です。

例えば、自用地価額が1億円で
借地権割合が60%の地域であれば、
次のように計算します。

◯自宅部分の土地(10%):1億円 × 10% = 1,000万円(自用地のまま)
◯賃貸部分の土地(90%):1億円 × 90% = 9,000万円
→ 貸家建付地:9,000万円 −(9,000万円 × 60% × 30%)= 7,380万円

◯土地の評価額合計:1,000万円 + 7,380万円 = 8,380万円

3.建物の評価方法
建物は、固定資産税評価額がそのまま相続税の評価額になります。
固定資産税評価額に1.0をかけるということです。
この固定資産税評価額を、土地と同様に面積割合で按分します。

自宅部分は「自用家屋」としてそのまま評価し、
賃貸部分は「貸家」として評価減を行います。

貸家の算式は次のとおりです。

貸家の価額 = 固定資産税評価額 −(固定資産税評価額 × 借家権割合)

例えば、建物全体の固定資産税評価額が5,000万円であれば、次のように計算します。

◯自宅部分の建物(10%):5,000万円 × 10% = 500万円(自用家屋のまま)
◯賃貸部分の建物(90%):5,000万円 × 90% = 4,500万円
→ 貸家:4,500万円 −(4,500万円 × 30%)= 3,150万円

◯建物の評価額合計:500万円 + 3,150万円 = 3,650万円

4.空室がある場合の注意点
相続が発生した時点で空室がある場合、
原則としてその部分は賃貸されていないものとして扱われます。
空室部分は貸家建付地や貸家の評価減の対象にならないため、
相続税評価額が上がってしまいます。
ただし、空室が一時的なものであれば、
賃貸されているものとして扱える場合があります。
具体的には、継続的に賃貸されてきたこと、
相続発生前後で速やかに募集をしていること、
他の用途に使っていないこと、
空室期間が短いことなどが求められます。

裁判例では、空室期間が長期に及ぶ場合は
一時的空室とは認められないと判断されています。
空室がある場合には、募集広告や仲介依頼などの
客観的な資料を残しておくことが重要です。

5.まとめ
賃貸併用マンションの相続税評価は、
面積按分によって自宅部分と賃貸部分に区分し、
土地は自用地と貸家建付地、
建物は自用家屋と貸家として、それぞれ評価します。

賃貸部分については借地権割合や借家権割合による
評価減ができるため、満室経営を維持することが
相続対策にもつながるのです。

ABOUT ME
渡邊浩滋
大家さん専門税理士事務所、渡邊浩滋総合事務所代表。当サイトを運営する大家さん専門税理士ネットワーク「Knees(ニーズ)」代表。 自らも両親から引き継いだアパートを経営する大家であり、「全国の困っている大家さんを助けたい」という夢を叶えるべく日々奔走している。 全国でのセミナー出演、コラム執筆等多数。
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