渡邊浩滋の賃貸言いたい放題 第262回
相続税の基礎から応用までわかりやすくQ&A方式で解説していきます。
Q
一筆の土地に、
自宅と貸駐車場があります。
登記上の地目は、全体が「宅地」です。
面積の内訳は、自宅部分が約80%、
貸駐車場部分が約20%です。
相続税の計算では、
自宅と貸駐車場は別々に評価するのでしょうか。
それとも、全体を一つの土地として
評価するのでしょうか。
全体をまとめて評価できれば、
「地積規模の大きな宅地」の評価減が使えるのでは
ないかと期待しています。
A
1.評価単位の原則
一筆の土地でも、
自宅の部分と貸駐車場の部分は、
それぞれ別の「評価単位」として分けて評価するのが原則です。
したがって、全体を一つの土地とみて
「地積規模の大きな宅地」を当てはめるのは、
難しいことが多いです。
相続税の土地評価では、
土地を「1画地」という単位に区切って評価します。
これを評価単位といいます。
ここで大切なのは、
登記簿上の「一筆」と、
評価上の「1画地」は必ずしも一致しない、ということです。
1画地は、所有者が土地を
どう使っているか――
「利用の単位」――
ごとに区切るからです。
同じ一筆でも、
使い方が違えば土地としての
価値も変わるので、別々に評価します。
逆に、二筆でも一体で使っていれば
一つの画地になることもあります。
2.「地目」と「利用区分」の違い
土地の評価は、まず地目ごとに
区分することになります。
そして地目は、
登記上どうなっているかではなく、
相続が起きた時点の「実際の使われ方」
で判定します(現況主義)。
ご質問では登記上は全体が「宅地」ですが、
自宅の敷地は宅地、貸駐車場は雑種地と、
現況の地目が分かれます。
地目が違うので、別の評価単位になります。
過去の裁決でも、
自宅と貸駐車場は別々に
評価するのが基本とされています。
3.「地積規模の大きな宅地」とは
「地積規模の大きな宅地」とは、
面積の大きな宅地の評価を引き下げる制度です。
広い宅地を戸建住宅用地として分譲しようとすると、
中に道路を通すなど「使えない部分」が
生じて価値が下がる
――その減価を評価額に反映させるものです。
要件をかみ砕くと、おおむね次のとおりです。
・面積:三大都市圏では500㎡以上、
それ以外の地域では1,000㎡以上
・地区:路線価地域では、
普通住宅地区または普通商業・
併用住宅地区にあること。
・容積率:指定容積率が、
東京都の特別区で300%未満、
それ以外で400%未満であること。
・除外:市街化調整区域、
工業専用地域、
大規模工場用地などでないこと。
ここで関係してくるのが、評価単位の話です。
この面積要件は、土地全体ではなく
「評価単位(1画地)ごと」に判定します。
自宅と駐車場が別の画地なら、
面積を合算できず、それぞれの
画地が単独で500㎡以上かどうかを
見ることになります。
たとえば全体が600㎡で、
自宅480㎡・駐車場120㎡だとすると、
全体なら500㎡を超えますが、
別々に見れば自宅も駐車場も500㎡に届きません。
4.まとめ
評価単位は登記の筆ではなく「利用の単位」で決まり、
自宅と貸駐車場は地目も利用区分も違うため、
別々に評価するのが原則です。
そして、この評価単位の取り方は、
地積規模をはじめとする各種の補正や
特例が使えるかどうかに直結します。
実態しだいで判断が分かれる場面も多いので、
迷ったら専門家にご相談ください。
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