東京の中心で税務を叫ぶ 第97回コラム
自宅の相続で節税できるの?
自宅の相続で節税できるの?
こんにちは!
今回は、自宅の相続方法についてお話します。
下記のようなご質問を頂きました。
Q
私の死後、妻が住むところに困らないように、妻に自宅を残したいと考えています。
どのような方法をとればよいでしょうか。
相続人は、妻と子供2人です。
A
奥様への相続を考える際には、2次相続も踏まえて考えて頂くのがよいと思います。
ご本人から奥様への相続を1次相続、奥様からお子様への相続を2次相続といいます。
通常は、1次相続より2次相続の方が相続税が高くなります。
理由は、相続人の数が減るため、
相続財産から控除できる基礎控除が少なくなるためです。
基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。
今回のケースでは、1次相続の基礎控除は、
4,800万円ですが、2次相続では、4,200万円に下がります。
また、配偶者が相続する場合には、配偶者の税額軽減が受けられます。
配偶者が取得する財産が、配偶者の法定相続分の金額と、
1億6,000万円とのいずれか大きい金額まで相続税がかからない制度で、
配偶者がいる1次相続のときだけ使用できます。
また、配偶者がもともと所有している財産が多いと、
そこに自宅分が上乗せされ、2次相続の相続財産が増えることにもなります。
このように、1次相続で、配偶者に財産を多く移してしまうと、
2次相続の相続税が高くなる可能性があります。
そこで、活用できるのが、配偶者居住権の設定です。
配偶者居住権とは、自宅の所有権と居住権(自宅に住む権利)を
分けて相続する制度です。
所有権部分を子供に相続させ、
居住権部分を奥様に相続させることで、
相続後も奥様の住む所を確保できます。
また、居住権部分は、奥様が亡くなると消滅します。
居住権部分の金額は、2次相続の際には、
相続財産には含まれないことになり、2次相続の相続税も下げられます。
なお、配偶者居住権は登記が必要ですが、
所有者の死亡時にならないとできません。
事前の対策として、配偶者居住権を奥様に遺贈する旨の遺言書を
作成しておく方法があります。
また、奥様と死因贈与契約を結び、
生前に配偶者居住権の仮登記をしておく方法もあります。
まとめ
①相続税対策は、1次相続だけでなく、2次相続も含めて考えましょう。
②配偶者に自宅を残す際には、配偶者居住権の設定をご検討ください。
大野税理士の他のブログはこちらから
楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。