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専門家が斬る!真剣賃貸しゃべり場
【第323回】賃貸経営のプロ廣田 裕司が斬る!①

「入居者募集戦略上の家賃設定」

皆さんこんにちは。大家兼不動産屋の廣田です。

家賃設定が賃貸経営にとって重要なのは言うまでもありません。
そこで今回は、入居者募集をするときの家賃設定について書いていきます。

1.家賃設定が賃貸経営に与える影響

設定した家賃の金額で、大家さんの収入は決まってきます。
収入を増やそうと高い家賃設定しても、
入居者募集に苦戦し稼働率が低下し、
結果収入減になります。また、稼働率を気にして、
安い家賃設定をすると入居者の確保には有利ですが、
売却時の価格が低くなる可能性があります。
家賃設定が収入の増減だけでなく稼働率や売却価格にも影響があります。
安定的な賃貸経営を進めるためには、適正な家賃を設定することが重要です。

2.家賃相場

家賃に関する特別なルールありません。大家さんと賃借人との相対取引なので、
両者が納得した価格が家賃となります。
しかし、「○○駅の徒歩10分圏の1Kは、
50,000円~55,000円」といった、
物件の所在地周辺の家賃の相場はあります。
ほとんどのケースでこの相場(価格帯)で
家賃は決まります。この相場より高すぎる家賃設定をすると、
お部屋を探している人から検索の対象から外れしまい、
入居者確保に苦戦します。逆に相場より安い家賃設定をすると、
容易に入居者を確保できますが、家賃相場より安い分、
得られるはずの収入を失っていることになります。
また、明確な基準がないためか、
最近、家賃の値下げ交渉をする入居者さんの話を良く耳にします。
家賃の値下げ交渉をする人が増えているのは、インターネット上で、
「家賃の値下げ交渉」のノウハウを紹介した記事が増えているためと考えられます。

3.市場環境と家賃

家賃は、一般のモノの価格同様に需給関係によって変化します。
住みたい人が多い少ないつまり、
賃貸需要の高低でも家賃は変化します。
当然ですが、賃貸需要の高いエリアの家賃は高く、
低いエリアの家賃は低くなります。賃貸需要の高いエリアであっても、
同じエリア内に同じ間取りの物件が増えると家賃が下がる傾向にあります。
賃貸需要はエリア内のインフラや施設の整備状況によっても変化します。
たとえば、大学や工場が移転すると移転元のエリアの賃貸需要は下がり、
移転先に賃貸需要は高くなります。
3年ほど前まで、交通の利便性が高い物件が好まれていましたが、
現在は、テレワークの普及を受けて、
利便性よりも広さを求める人が多くなってきました。
家賃の相場は、時代の流れによって変化しています。
人気エリアだから安心と考え物件周辺の環境の変化に気づかず、
家賃相場の範囲を外れてしまうと、
入居者確保に苦戦することになります。

 

ABOUT ME
廣田裕司
〇空室相談、賃貸経営全般 有限会社丸金商事 取締役 合同会社アップ 代表社員 大学卒業後、メーカーに勤務、主に土木、建築資材営業 生産管理を経験。2001年に妻の実家の賃貸事業をベースに、有限会社丸金商事を設立。同社の取締役に就任し、(当時は兼業)賃貸経営の関わるようになる。2008年に相続により同社代表取締役に就任。翌2009年の会社を退職し専業となる。現在までに3回 新築物件(6棟、27戸)を手がけ、12棟90戸所有。2019年合同会社アップ設立。
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