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遺産の分割方法が決まってないのに相続税の申告は必要?

東京の中心で税務を叫ぶ 第171 回コラム

大家さん
大家さん

遺産の分割方法が決まってないのに相続税の申告は必要?

大野
大野

そもそも遺産の分割方法が決まってないのに
相続税の申告は必要?
について、お話しします!

こんにちは!
今回は、相続財産の分け方が決まっていないとき(未分割)の
相続税の申告方法についてお話します。

未分割とは、相続が発生し、
相続人間で話し合いがまとまらないなどの理由で、
遺産分割協議が相続税の申告期限までに整わない状態のことをいいます。

このような状況のとき、
続税の申告期限を先延ばしにできるかというと、
それはできません。
未分割状態であっても、
相続税の申告は、亡くなった日から10ヶ月以内に行う
必要があります。

相続税の計算は、まずは全体の相続税を計算したうえで、
それを各相続人が取得する財産の額に応じて分ける、というやり方です。
よって、誰がいくら財産を取得するかが決まっていないと、
各相続人が負担する税額が計算できないことになります。

ではどうやって申告するかというと、
民法上の法定相続分で分けたものとみなして申告を行います。
たとえば、相続人が配偶者と子供1人であれば、
1/2ずつとなります。

ただし、未分割申告にはデメリットがあります。
たとえば、通常は、賃貸物件を相続する場合は、
小規模宅地の減額という特例が受けられます。
土地のうち200平米までは、評価額が50%減額される制度です。
ただ、この制度の目的は、
相続によって賃貸事業の継続性が阻害されないように、
相続税の負担を軽減する措置なので、
そもそも誰が相続するか決まってない状態では適用できないことになっています。

ではあきらめないといけないかというと、
そうではなく救済措置があります。
申告期限から3年以内に分割が決まれば、
適用できることになります。
ただし、そのためには、
最初の申告期限までに
「申告期限後3年以内の分割見込書」
を提出する必要があります。

この書類を提出することで、
最初の申告では特例を適用せずに計算した税額をいったん納付し、
その後分割が決まったときに、
特例を適用した場合の相続税を再度計算して申告することで、
納め過ぎた税金を取り戻すことができます。
未分割の場合でも、
いったん仮の申告が必要になりますので、
忘れないようにしましょう。

まとめ

①未分割状態でも10ヶ月以内に相続税の申告が必要です。

②「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出も10カ月以内です。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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