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購入価格と同額で売ったのに譲渡税が発生!なぜ?

東京の中心で税務を叫ぶ 第173 回コラム

大家さん
大家さん

購入価格と同額で売ったのに譲渡税が発生!なぜ?

大野
大野

そもそも購入価格と同額で売ったのに譲渡税が発生!なぜ?
について、お話しします!

こんにちは!
今回は、大家さんが勘違いしやすい
譲渡税の考え方についてご説明します。

「購入時と同じ価格で売れたから税金はかからないだろう」
と思っていませんか?
実は、売却価格と購入価格が全く同じでも、
譲渡所得税が課される可能性があります。
一体なぜこのような事態が起こるのでしょうか。
その答えは、
税法独特の「減価償却」という仕組みにあります。

譲渡所得税は、次の計算式で求められます。

譲渡所得 = 売却価格− (取得費 + 譲渡費用)

ここで重要なのが「取得費」の考え方です。
土地については時間が経っても
価値は変わらないとされますが、建物は違います。
税法上、建物は時間の経過とともに価値が減少する資産とみなされ、
所有期間に応じて「減価償却費相当額」を
購入代金から差し引かなければなりません。
つまり、たとえ市場価格が変わらなくても、
税法上の取得費は購入時より確実に低くなってしまうのです。

ちなみに、賃貸物件として運用していた建物の場合、
減価償却費は毎年の不動産所得の経費としてすでに計上済みです。
つまり、この減価償却費によって
過去の所得税を軽減していたのです。

売却時の取得費計算では、
この「既に経費として使った減価償却費」は
取得費に含めることができません。
つまり、過去に税金の軽減メリットを受けた分、
売却時には課税されるという仕組みになっているのです。

まとめ

①購入価格と同額で売っても譲渡税が発生することがあります。

②建物の価格のうち減価償却費は不動産所得の経費となり、
残った金額が売却時の経費になるという考え方になります。

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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。

ABOUT ME
大野晃男
1979年12月生まれ。 資格専門学校の簿記講師を経て税理士法人に勤務。 その後、自動車部品製造会社の経理として働く。 実家がサラリーマン大家さんだったことから、 渡邊浩滋総合事務所に興味を持ち、入所。
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