東京の中心で税務を叫ぶ 第72回コラム
そもそも災害損失特別勘定って何?
そもそも災害損失特別勘定って何?
こんにちは!
今回は、台風などで被災して保険金を受取る場合の取り扱いについてお話します。
たとえば、下記のようなケースで考えてみます。
「3月決算の法人です。
賃貸アパートが台風で雨漏りしたので、保険金を受取って修繕工事を実施しています。
ただ、今期中に修繕工事が終わらない可能性があります。」
法人が受け取る損害保険金は、支払いが確定した日に収入として計上されます。
今期にすでに受け取っているなら、今期の収入となります。
(ちなみに、個人が災害により受け取る損害保険金は、原則として非課税となります。)
一方、修繕費は工事が完了した日に経費に計上することになります。
今期中に工事が完了しないときは、今期の経費にはできません。
たとえ、工事代金を今期中に先払いしていても、工事が完了していなければ同じです。
したがって、今回のケースでは、今期に保険金だけが収入となり、
修繕費は来期以降の経費に計上されます。
ただそうすると、自然災害により被災してその復旧のために
保険金を受取ったにもかかわらず、
復旧に使う前に保険金の一部が税金で持っていかれることになってしまいます。
このように、保険金を受け取る年度と修繕費を計上する年度がズレてしまうときに
活用できるのが災害損失特別勘定の制度です。
上図のように、災害損失特別勘定を適用すると、
来期に発生する修繕費の見積額を前倒しで今期の経費に計上できることになります。
例えば、保険金が100万円で修繕費の見積額も100万円だった場合、
収入と経費が同じ年度に計上されることになり、
今期の課税される所得はゼロとなり、税金は発生しないことになります。
まとめ
①今回のケースは法人の大家さんを前提としています。
②災害損失特別勘定を利用すると、
修繕費の見積額を前倒しで経費に計上できます。
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楽待 不動産住宅新聞でもコラム連載しています。